へるぱ!

今回のヘルパーさん

第74回 叶内真理子さん

東京都西東京市の田無駅から徒歩5分ほどの場所にある『株式会社ケアワーク北多摩』でサ責として働く、叶内真理子さんにお話しを伺いました。

介護の仕事。老健から訪問へ

人と深く関われる仕事に就きたいと思いました。

―叶内さんが介護職に就いたきっかけは?

以前は一般事務や軽作業の仕事をしていましたが、当時から親の介護をしながらの生活だったこともあり、「人と関わる仕事がしたいな」と思うようになりました。学生の頃憧れていた職業『看護師』に対する想いもずっとあったりで、転職を真剣に考えるようになりました。といっても、看護師はすぐなれる職業でもないですし、家庭の事情もあって、当初から諦めてもいて…。そんななか「人の役に立てる職業は何かな」と考えた時、自分にとって身近な存在であった『介護』の仕事はどうだろうとヘルパー2級の資格を取ったのがこの仕事に就くきっかけです。

―ということは、当初から資格取得した後は介護職で働こうと?

そうですね。それが前提だったので仕事も辞めて、アルバイトをしながら通信制で資格を取りました。半年ぐらいで資格を取り、その後老健に就職しました。

―実際働いてみて、どんな印象でしたか?

1フロアに50人ほどのご利用者さんがいて、朝の起床介助から、おむつ交換、食事介助、入浴介助とフル回転の日々でした。ゆっくりご利用者さんと会話する余裕もなく、機械的にお世話をするといった印象です。本当に体力勝負な現場でした。

―そもそも最初の職場に老健を選ばれたのはなぜですか?

施設であればその場にいる方達と協力しながら仕事を進められるけれど、訪問だと1対1。その分責任も重いですし。家事や掃除を満足にできる自信もその頃の自分にはなく、最初働くなら施設がいいかなと。

―でもその後、訪問の仕事に転職されていますよね?

そうなんですよね。ご利用者さんとコミュニケーションが十分にとれないのが辛くもあって。人と関わる仕事がしたいと思って転職したのに、ちょっと違うな…と。1年ぐらい経って自分の経験値も増えてきた頃、より人と深く関われそうな『訪問』に興味が湧いたんです。そんな折、在宅経験のある仕事仲間からも「やってみたら結構楽しかったよ」という話も聞いたりして。それが後押しになり、当初は尻込みした訪問介護でしたが、やってみようかな、と思い転職を決意しました。

訪問介護というお仕事

ご利用者さんのやり方に合わせる従順さが必要です。

―叶内さんは、老健からこちらの事業所『株式会社ケアワーク北多摩』に転職されて、この会社一筋14年ですよね。いざ訪問で働かれてみた当時の印象は?

最初は登録ヘルパーとして入社、直行直帰型の勤務でした。訪問になるとご利用者さんの家が職場なので、それが施設と大きな違いです。ホームヘルパーとして何でもできなければいけない、という気負いもすごくありましたね。でも、どんなケアもご利用者さんのやり方に合わせるという点では、ベテランも新人もご自宅に入ったその日がスタート。介護の基本的な知識は必要ですが、それ以上に“ご自宅の流儀に合わせる従順さ”が必要と分かってからは、それを心得にして頑張ってきました。

―素直な気持ちで受け入れる、的な?

ご利用者さん宅に入り、その場で常に勉強です。指示が細かい方やこだわりが強い方も多いですが、その方がずっと生活している家でもあるので、その方針を受け入れて合わせることが大事。もちろん老健での経験も自信になりました。おむつ交換や入浴介助は最初から落ち着いてできたので。

―徐々に訪問の仕事が楽しいと思えるようにも?

はい。やはり1対1なので、人と深く関われるのが大きいです。仕事とはいえ、その方との繋がりが深くなるほど、会う楽しみや話す楽しみもどんどん増えていって。そういうところにやりがいも感じられるようになりました。

―その後どれくらいでサ責に?

登録ヘルパーから半年後に正社員に、その後5年経って介護福祉士の資格をとったタイミングでサ責に。

―サ責になって何か変化はありましたか?

正社員になった時にチーフヘルパーという役職をいただいて、その時からサ責に近い仕事をしていたので仕事内容が大きく変わったという印象はあまりなく。ただ、外部との繋がりは増えましたよね。他事業所の方々とのやり取りやサービス担当者会議に出席したりして情報交換をする機会も多いですし。あとは、次世代に繋げていける介護職員を育てていく責任もより強く感じています。

―ヘルパーの育成ということですよね。

ヘルパーは一番身近にご利用者さんのことを見れる貴重な存在です。それぞれが抱える疾病を意識して、それに伴う注意点を理解しながら変化を見逃さない。「何かいつもと違うな」と感じたら、すぐに報告をあげて、必要があればケアマネと看護師と連携をとっていかなければいけません。ヘルパーの人数が多い分、1人1人のレベルが様々です。すべてのヘルパーが意識を高められるよう、日々努力を求められています。

「株式会社ケアワーク北多摩」について

事業が多岐にわたり、部門の垣根を超えてヘルプすることもあります。

―『ケアワーク北多摩』について。事業も幅広いと伺いましたが?

はい。元々、家政婦紹介業からスタートした創業1963年の会社。もう50年以上になり、この田無という地域に根付いている感じがありますよね。その後介護保険ができた時にヘルパーステーション部門が立ち上がり、その他、障がい者総合支援法部門、居宅介護支援事業部門やひとり親支援などの行政委託業務、訪問介護事業等に付随する請負業務など、事業は多岐にわたります。

―事業間の繋がりなども?

時々あります。私が家政婦として行くこともあれば、障がい者支援に行くことも。事業展開が広い分、フォローできる部分はお互いヘルプし合う感じです。それぞれに担当者がいて、相談しながら無理のない範囲で。アットホームな会社なので、そういうことがしやすい環境でもありますよね。

―ご利用者さんってどれぐらいの人数がいらっしゃいますか?

介護保険の方で200名。介護保険以外に障がい者支援で100名。家政婦紹介業だと30名ぐらいのご利用者さんがいます。ちなみに常勤サ責は訪問で9名で、常勤ヘルパーが4名。登録のヘルパーさんは100名ほど。

―かなり大規模な事業所なんですね。

事務所が一般住宅なのであまりそう見られないですが(苦笑)、抱えている人数は多いです。

―叶内さんはどれぐらいのご利用者さんを担当しているのですか?

サ責は各々30~40名ほどのご利用者さんを担当しています。そのため日々連絡調整の業務に追われている現状ですが、同時にヘルパーの育成面にも力を入れているところです。

―それが叶内さんにとって今後の目標でも?

そうですね。ヘルパーのスキルアップ、特に若い方を育てていきたいなあと。まだ私より年下の社員がいないので、次世代に繋がる方を。育成という点では、事務所の2階にある研修室で料理やおむつ交換といった技術面をフォローする研修会は随時開催していますが、意識レベルを変えていくというのはそう簡単ではありません。そこまで指導していけるようになることが目標であり、私の努力すべき部分でもあります。また、「介護職員等によるたんの吸引等の研修」を受講して、そうした資格を持っている人を増やして、ヘルパーさんができることを増やしていけるよう配慮していきたいです。

―最後に、どんなことを心がけてこの先も仕事を続けていきたいですか?

1対1だからこそ人間性が試される職場だと思います。常に誠意をもって色々な方に接していきたいですね。

編集後記

介護の仕事を長く続けてきた理由に「後がいなくて、自分が頑張って穴を埋めなきゃいけないから」とおっしゃっていた叶内さん。もちろんやりがいあってこそ続けてきた経緯もあるでしょうが、若手が育たず常に人材不足、これはどこの事業所も頭を悩ませている問題です。また、取材のなかで、医療につなげられる意識の高いヘルパーを育てていきたい、というお話もありました。次世代の担い手を育てていく、これこそが現代の介護業界における永遠のテーマのようにも感じました。

今回、取材にご協力いただいた叶内真理子さんをはじめ、『株式会社ケアワーク北多摩』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。

「へるぱ!」運営委員会一同

事業所紹介

◆株式会社ケアワーク北多摩

〒188-0011
東京都西東京市田無町5-8-15

TEL.042-461-8230
FAX.042-461-5226
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事業所紹介

叶内 真理子さん

株式会社ケアワーク北多摩
サービス提供責任者

勤務年数:約14年/介護歴:約15年

趣味

くまモンのグッズ集め

ゆるキャラ「くまモン」。銀座にある熊本県のアンテナショップで見かけて以来、あの“とぼけたような顔”がかわいくてグッズを集めるようになりました。今では、くまモングッズを見かけるとついつい買ってしまいます。

 

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