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今なら語れる「障害を越えて」

第39回 視覚障害者の専用窓口を…2021/11/30

 新型コロナウイルスの流行が早期に解消すると予想し、ガイドヘルパー講座の開講も早い段階で再開できると期待していたものの、この状況下になり2年目となりました。

 この期間、視覚障害者にとって致命的だったのは「ふれあい」の自粛が要請されたことです。これまで声かけをいただいていた人も減り、この世の中から見放された人間だと誠に実感しました。新型コロナワクチン接種の予約手続きにおいては、点字で“便り”が来ないため、手続きに取り残された視覚障害者がいたという報道もありました。

 中途視覚障害者である私も、電話による予約申込みで半日を費やし、結局は予約申込みが出来ず、後日市役所の福祉担当課にクレ-ムの電話をして、自宅近くの公民館で窓口が設置されていることを知りました。

 今回の緊急事態において、健常者はスマホによる手続きが簡易に出来ても、高齢者をはじめとした視覚障害者には厳しい体験となったように思います。この体験を通して、改善策が検討されていることを知りましたが、人間、時間が経過すれば忘れ去るもの。手助けが必要な人たちが、緊急事態発生時にちゃんと対応されているか、最後に再チェックする担当者をおいてほしいものです。

 今年は「東京2020パラリンピック」が開催されたことで、視覚障害者をはじめとした重度の障害をもつ者たちが、いかにして世の中を生き抜き、闘っているかを知っていただける機会に恵まれました。報道を通して知っていただき、より多くの理解者が増えたように思います。

 この先も時代は「キャッシュレスで現金を取り扱わない計画」、「銀行は紙の通帳をなくしていく方向」、「スマホによるデータ通信」など、視覚障害者には暮らしにくい世の中へと進んでいっているように思います。

 必ず弱者がいることを忘れず「弱者窓口」の新設をお願い致します。これからは高齢者が多くなりますが、これを解消する計画がないことに最近不安を感じているのは私だけでしょうか。

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コラムニスト紹介

山田 猛

ガイドヘルパー(視覚障害者)

プロフィール

1941年 中国・元満州国安東省生まれの引揚者。

1969年 立正大学経済学部を卒業後、運輸会社へ入社。航空貨物部門で海外宅配便と新規事業開発で書類宅配便クーリエサービス業務の立上げの責任者となる。のち、ISO品質管理室長として全国支店を飛び回り指導に励む。また会社品質向上を担当。

2000年9月 定年半年前に角膜移植手術を受けるが、移植に失敗。強度の視力障害を持つ中途失明者となる。
定年後、第二の人生設計を立てていたところに抱えた大きな障害。生きる希望をも見出せず失望の淵に立たされた時期を乗り越え、現在、同じ境遇の人たちを救うため介護福祉について勉強中。

介護を受ける立場にかかわり、介護をされる皆様に何を求め、また考えているかを視覚障害の症状、環境変化がありすべての方の問題とか解決策とはなりませんことをご理解頂き、あくまでも私個人として利用者が感じた点を記述してみたいと思います。

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