今なら語れる「障害を越えて」
第34回 恐怖は同じ (1) 2021/3/25
新型コロナウイルスの感染確認から約一年が経過しました。予想以上の猛威を振るい、最近ではこれまで以上の感染力で世界を脅かしています。
何しろ病気の原因こそ判明していますが、その正体が見えないので手の施しようもありません。まるで世界の人達を視覚障害者にしたようです。これまでは見えている健常者が優位であると感じていましたが、この現状では、見えている人も、見えていない人も恐怖を感じる条件は同じです。
これまでは見えないことに対して恐怖を感じていましたが、この一年間ウイルスという見えないものへの恐怖を体験し、視覚障害者の気持ちをよく理解して頂けたのではないでしょうか。
以前のコラムにも書いた通り、問題が発生するたびに弱い人に負担がかかっていると感じます。言葉をかけて誘導するガイドヘルパーにとっても大きなダメージです。今回の新型コロナウイルスでは視覚障害者は外出も出来ない人が多いと思います。家の中に閉じこもり、運動不足で身体の調子を悪くしていることでしょう。声かけをしながら誘導するために、マスク、手洗い、うがいを行うヘルパーさんが受け入れてもらえるかどうかは、これまで以上に信頼関係を深めていくことが大事なのではないでしょうか。
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山田 猛
ガイドヘルパー(視覚障害者)
プロフィール
1941年 中国・元満州国安東省生まれの引揚者。
1969年 立正大学経済学部を卒業後、運輸会社へ入社。航空貨物部門で海外宅配便と新規事業開発で書類宅配便クーリエサービス業務の立上げの責任者となる。のち、ISO品質管理室長として全国支店を飛び回り指導に励む。また会社品質向上を担当。
2000年9月 定年半年前に角膜移植手術を受けるが、移植に失敗。強度の視力障害を持つ中途失明者となる。
定年後、第二の人生設計を立てていたところに抱えた大きな障害。生きる希望をも見出せず失望の淵に立たされた時期を乗り越え、現在、同じ境遇の人たちを救うため介護福祉について勉強中。
介護を受ける立場にかかわり、介護をされる皆様に何を求め、また考えているかを視覚障害の症状、環境変化がありすべての方の問題とか解決策とはなりませんことをご理解頂き、あくまでも私個人として利用者が感じた点を記述してみたいと思います。