へるぱ!

今なら語れる「障害を越えて」

第33回 新型コロナウイルス (2)      2020/12/10

 最近の報道では、人と人との距離間隔をとる、3密(密閉、密集、密接)を避ける、感染予防にマスクを着用する、不要不急の外出はしない、など新しい生活様式として習慣づけることをすすめています。

 私は、人との距離は前の人と白い杖の長さで測っています。今使用している白杖は長さ1m20cmなので逆算して列に参加していますが、動きが遅いこともあり、後ろからのクレームは今も避けられません。一番困ることは皆さんがマスクを着用していることです。相手の声の高さや距離感覚が判断しづらく、今まで声の上げ下げで近くに人がいるかどうかを判断していたので、大変苦労しています。

 視覚障害者に理解ある人も、これまでは「お手伝いしましょうか」とよく声をかけていただきましたが、最近は一度もありません。皆さん、密接を避ける防止策を厳しく守っていて感心します。

 密集を避けるため、混雑する電車通勤は避け、徒歩か自転車通勤を始める人も増えてきました。ですが、視覚障害者にとって、音のしない乗り物は危険です。以前にもお話ししましたが、電気自動車は移動するエンジン音が小さく危険度が増します。自動車メーカーには、優しい音がする自動車というのも、開発の一案に加えていただきたいです。

 今後、生活環境&様式は変わっていくことでしょう。全てこれまでと同じ生活に戻ることを望むわけではありませんが、弱者にもやさしく、理解ある変化と改革であることを切に願います。新型コロナウイルスがいつまで流行するか、ワクチン開発がいつになるかは不明ですが、これまで通りの生活が続くことを考えると、訓練していた基本動作を守り、同行援護のためにマスク着用、手の消毒&うがいを完全実行することを忘れないことが重要です。また解決策として、声かけは少なくても、基本姿勢で利用者との約束事を決めておく、また誘導する行動を今まで以上に増やしていくのも一案です。

 私達障害者は、今まで社会に負けず闘ってきた実績があります。その実績を生かして、新しい解決策が必ず生まれてくると思っています。

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コラムニスト紹介

山田 猛

ガイドヘルパー(視覚障害者)

プロフィール

1941年 中国・元満州国安東省生まれの引揚者。

1969年 立正大学経済学部を卒業後、運輸会社へ入社。航空貨物部門で海外宅配便と新規事業開発で書類宅配便クーリエサービス業務の立上げの責任者となる。のち、ISO品質管理室長として全国支店を飛び回り指導に励む。また会社品質向上を担当。

2000年9月 定年半年前に角膜移植手術を受けるが、移植に失敗。強度の視力障害を持つ中途失明者となる。
定年後、第二の人生設計を立てていたところに抱えた大きな障害。生きる希望をも見出せず失望の淵に立たされた時期を乗り越え、現在、同じ境遇の人たちを救うため介護福祉について勉強中。

介護を受ける立場にかかわり、介護をされる皆様に何を求め、また考えているかを視覚障害の症状、環境変化がありすべての方の問題とか解決策とはなりませんことをご理解頂き、あくまでも私個人として利用者が感じた点を記述してみたいと思います。

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