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今なら語れる「障害を越えて」

第27回 中途視覚障害者としての体験談 (4)       2019/12/27

 私にとって東日本大地震で得た教訓は「非常持ち出し袋の設置場所」でした。

 中途視覚障害になって特に感じる大切なことは、大切な物の所在を明確化し把握しておくことです。健常者であれば、非常時でも素早く大切なものを取りまとめられるかもしれませんが、見えないので大切なものどこあるかパッと判断して手にすることができません。そのため、非常持ち出し袋同様、外出時にいつでも携帯するカバンは事前に用意しておく必要があります。そのカバンにはあらかじめ、身障者手帳や自宅の住所や電話番号が記入された手帳を必ず入れておくようにしましょう。

 次に大切なこと、それは散歩中に自分からすれ違う人に挨拶をすることです。「おはようございます」はファーストコンタクト。もし相手が足を止めて話しかけてくれるようであれば、「私は山田と申します」と自分の名前を名乗りましょう。最近は相手から名前を名乗ることはなかなかありません。ですので「自分から」が肝心です。挨拶を交わすことのメリットには、会話から最新情報を得ることができる点が挙げられます。

 私には、相手から挨拶時に好感を持ってもらうための成功実例があります。朝早い散歩であれば、すれ違う人達の大半がジョギングか愛犬の散歩です。愛犬が小型犬なのか大型犬なのか、毛並みの色などを糸口に足を止め、話しかけることです。飼い主は我が子のように犬を育てていることもあり、愛犬の話題となると、軽い挨拶から楽しい会話に発展することもしばしばです。ぜひトライしてみましょう。成功間違いなしです。

 ここまで、4回にわたって中途視覚障害者になった実体験を記載してきました。皆様には何かの参考にしていただければ幸いです。

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コラムニスト紹介

山田 猛

ガイドヘルパー(視覚障害者)

プロフィール

1941年 中国・元満州国安東省生まれの引揚者。

1969年 立正大学経済学部を卒業後、運輸会社へ入社。航空貨物部門で海外宅配便と新規事業開発で書類宅配便クーリエサービス業務の立上げの責任者となる。のち、ISO品質管理室長として全国支店を飛び回り指導に励む。また会社品質向上を担当。

2000年9月 定年半年前に角膜移植手術を受けるが、移植に失敗。強度の視力障害を持つ中途失明者となる。
定年後、第二の人生設計を立てていたところに抱えた大きな障害。生きる希望をも見出せず失望の淵に立たされた時期を乗り越え、現在、同じ境遇の人たちを救うため介護福祉について勉強中。

介護を受ける立場にかかわり、介護をされる皆様に何を求め、また考えているかを視覚障害の症状、環境変化がありすべての方の問題とか解決策とはなりませんことをご理解頂き、あくまでも私個人として利用者が感じた点を記述してみたいと思います。

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