へるぱ!

今なら語れる「障害を越えて」

第23回 エスカレーターでの立ち位置は?

 利用者を安全に同行援護する際の基本として、地下鉄やデパートといった施設内での乗り物利用の優先順位に、第1にエレベーター、第2にエスカレーター、第3に手すりのある階段という考え方があります。

 まずエレベーターの利用時は、利用者を乗り降りする戸口正面に立たせず、ドアが開く戸袋側に立たせて待つようにしましょう。ホームで電車を待つ場合も同様です。電車が開くドア正面で待たせず、ドアが開く戸袋側に利用者を誘導、乗客が降りた後に乗車口へと誘導します。また、エスカレーター利用時も、必ず動くベルトの位置を確認し、前の利用者と間隔を充分あけてからの利用をおすすめします。

 同行援護者が一番意識すべきこと、それは利用者の安全確保です。利用する乗り物の順番を常に念頭に置きながら、施設内でのガイドヘルパーとしてしっかり責任を果たしましょう。

 過去3回にわたるコラムで、「右、左に」といった言葉で説明をしてきました。それは、障害者にとって、「あれ、これ、あっち、こっち」といった指示語の会話が理解できないからです。つい、健常者同士の会話のように話してしまいがちですが、障害者と話しをする時は、「右、左」をうまく使い分けて会話をしてみてください。

 「右の上」、「左の下」、「少し下」など、お互いに理解しやすい言葉を模索することも勉強の一つです。また、「あれ、これ」と言いながら、現物に手を触れさせて相手に分かってもらう工夫もしてみましょう。それでもうまく説明できず相手に伝わらないことがある場合は、利用者に遠慮せず「どうすれば理解していただけますか?」と問いかけてみましょう。問いかけることで問題点が解決できることもありますので、ぜひとも話しかけてみてください。今までにない良い解決策が生まれるかもしれません。

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コラムニスト紹介

山田 猛

ガイドヘルパー(視覚障害者)

プロフィール

1941年 中国・元満州国安東省生まれの引揚者。

1969年 立正大学経済学部を卒業後、運輸会社へ入社。航空貨物部門で海外宅配便と新規事業開発で書類宅配便クーリエサービス業務の立上げの責任者となる。のち、ISO品質管理室長として全国支店を飛び回り指導に励む。また会社品質向上を担当。

2000年9月 定年半年前に角膜移植手術を受けるが、移植に失敗。強度の視力障害を持つ中途失明者となる。
定年後、第二の人生設計を立てていたところに抱えた大きな障害。生きる希望をも見出せず失望の淵に立たされた時期を乗り越え、現在、同じ境遇の人たちを救うため介護福祉について勉強中。

介護を受ける立場にかかわり、介護をされる皆様に何を求め、また考えているかを視覚障害の症状、環境変化がありすべての方の問題とか解決策とはなりませんことをご理解頂き、あくまでも私個人として利用者が感じた点を記述してみたいと思います。

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