へるぱ!

今なら語れる「障害を越えて」

第22回 エスカレーターでの立ち位置は?

 今回はエスカレーター利用時の説明をします。外出して必ず利用するものにエレベーターやエスカレーターがあります。そのため、同行援護養成講座での外出実技でも地下鉄のエレベーターまたはエスカレーターの利用説明にとても力を入れてきました。

 2020年開催の東京オリンピックがいよいよ来年となりました。障害者に優しく、パラリンピックにふさわしい東京になるべく、全ての街において、地下鉄やJR、デパート、歩道橋などの施設の補修・改修が進行中・完了しているようです。今まで以上に障害者に優しい街へと変化してきているのを感じますが、施設に関しては、障害者だけでなく健常者も同様の利用をしていることについて少し考えてみませんか?

 特に近頃のエスカレーター利用には変化を感じます。エスカレーターの幅は二人並んでぴったりな幅です。これまでは左側に寄り、後ろから駆け上がる人に優先権を与えてきました。本来の目的は、上に上がるため、下に降りるための乗り物であって、急ぐために駆け上がる、駆け降りる乗り物ではありません。そのため、利用者に対して「エスカレーターやエレベーターでの走り込みはしないで下さい」と注意を呼び掛ける放送や声かけもよく耳にするようになりました。

 これまでの養成講座では、利用時の注意事項として「東京では左側、関西地方では右側」に立ち位置するよう、また、後方者に優先権を与えるように説明をしてきました。ですが今後は、健常者の皆様には、エスカレーターを駆け上ったり、駆け降りたりせず、障害者の安全にも配慮した利用でぜひともお願いしたいです。

 ちなみに、歩いて良いとされているのは、東京や大阪などの大都市で見かける「動く歩道」です。これは歩きを補助するためのものであり、上を歩くことが許されています。また一時停止する際は、右か左に寄り、後方者に優先権を与えなければいけません。

 いずれの乗り物も健常者だけに与えられたものではないことを理解していただき、高齢者社会での共存・共有生活を楽しみたいものです。

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コラムニスト紹介

山田 猛

ガイドヘルパー(視覚障害者)

プロフィール

1941年 中国・元満州国安東省生まれの引揚者。

1969年 立正大学経済学部を卒業後、運輸会社へ入社。航空貨物部門で海外宅配便と新規事業開発で書類宅配便クーリエサービス業務の立上げの責任者となる。のち、ISO品質管理室長として全国支店を飛び回り指導に励む。また会社品質向上を担当。

2000年9月 定年半年前に角膜移植手術を受けるが、移植に失敗。強度の視力障害を持つ中途失明者となる。
定年後、第二の人生設計を立てていたところに抱えた大きな障害。生きる希望をも見出せず失望の淵に立たされた時期を乗り越え、現在、同じ境遇の人たちを救うため介護福祉について勉強中。

介護を受ける立場にかかわり、介護をされる皆様に何を求め、また考えているかを視覚障害の症状、環境変化がありすべての方の問題とか解決策とはなりませんことをご理解頂き、あくまでも私個人として利用者が感じた点を記述してみたいと思います。

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