へるぱ!

学ぼう!「医療」と「介護」

第3回 カリキュラム改正に期待する

現在、我が国においては、団塊の世代が65歳以上に達する2015年を目前にし、さらに10年後の2025年には75歳以上の後期高齢者数が2,000万人を超えることが見込まれており、いわば高齢化の「最後の急な上り坂」を登りはじめたところです。

このような中、認知症の者や医療ニーズの高い重度の者が増加するとともに、成年後見や障害者の就労支援など、国民の福祉・介護ニーズはより多様化・高度化してきている状況にあり、これらのニーズに的確に対応できる質の高い人材を安定的に確保していくことが喫緊の課題となっているところです。

これを踏まえ、このような状況に的確に対応できる人材を養成するため、昨年11月28日に社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律(平成19年法律第125号)が成立し、同12月5日に公布されたところです。

この法律改正と併せて、社会福祉士養成課程及び介護福祉士養成課程における教育カリキュラム等を見直し、今後、より一層質の高い社会福祉士及び介護福祉士を養成していくこととしており、これらの新しい教育カリキュラムについては、平成21年4月より実施することとしています。

(厚生労働省HPより抜粋)

今年4月1日から社会福祉士法および介護福祉士の新カリキュラムでの教育が開始されます。新カリキュラムでは、「人間の理解」「社会と制度の理解」「心とからだの仕組み」を土台とし、そこから介護に焦点をあてて体系だった組み立てをしています。
従来のカリキュラムは、介護福祉士の核となる介護概論や介護技術などの科目が、後ろ部分に位置づけられいることに違和感を覚えていたのですが、今回の改正で、介護の専門性が前面に打ち出されるようになります。

「介護の質の向上」をめざして介護福祉士の専門性の確立が志向され、介護福祉士として誇りや魅力を十分に引き出していこうとする方向性が示された内容です。
介護の質の向上が、専門職として社会的認知を獲得することへとつながっていき、そこから待遇改善への道も開けてくることと思います。今回のカリキュラム改正には多くの期待がこめられているのです。

また今年4月の介護報酬の改訂が、介護職の給与に反映されるよう注目されています。高齢社会のただ中にあって、日本中の人々の追い風を受け、魅力とやりがいのある職業をめざして、皆様とともに頑張っていきたいと思います。

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コラムニスト紹介

式 恵美子

兵庫大学 健康科学部看護学科教授

プロフィール

【資格】
日本赤十字短大、東洋大学大学院(福祉社会システム専攻)修了。看護師、社会福祉士、介護支援専門員、認知症ケア専門士、福祉住環境コーディネーターの資格を持つ。

【職歴】
日本赤十字医療センター等の病院にて看護職(婦長、看護部長)約20年、看護学教育約20年、介護福祉士教育5年を経験。杏林大学高齢者看護学講師、国際医療福祉大学助教授、創造学園大学教授を経て2007年4月より現職。訪問看護、介護支援専門員の経験あり。

【社会活動】
NPO日本介護予防協会理事、介護実技国家試験委員、東京都福祉サービス第三者評価機構評価委員。高齢者の看護・介護、在宅ケアを研究領域とし、特に「介護予防」に焦点を当てて活動中。

著書・出版

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