へるぱ!

介護を受けるプロ

第19回 ヘルパーさんたちの手でリハビリを受ける

どんな障がいを持っている人も歳をとるごとに障がいが重くなっていく。私も朝晩ヘルパーさんにリハビリをしていただいている。

「最近どうも座りにくくなってきた。背骨が極端に曲がってきているな。どうしたらよいのだろう」と悩み、これまでにも二度、家に来てリハを教えてくださっている先生に困っていることを話すと、「すぐに小山内さんのケアをしているヘルパーさんたちを集めて、リハの研修会をやるよ」とおっしゃってくださった。「ヘルパーさんは何人来てくださるかな。2人か3人来てくださればよいほうだな」と思っていた。しかしほとんどのヘルパーさんが来てくださったので、うれしかった。そしてヘルパーさんたちを尊敬した。

先生は背骨が曲がらないようなリハの仕方に変えてくださった。ヘルパーさん一人ひとりにリハをやってもらい、チェックをしてくださった。私も頭の中で少しでも覚えておこうとした。あの研修会から1ヵ月くらいたっただろうか。背骨が少し伸びやすくなり、便座にも座りやすく、便が出やすくなったのである。「おぉ、これがリハビリの効果か!」とうれしくなった。

私のケアには毎日リハを取り入れているので、体が疲れてやりたくないときも、ヘルパーさんたちははりきって腕まくりをし「さ、小山内さんリハビリですよ」と言ってくださる。毎日、洗面、着替え、トイレ、料理の注文、買い物、入浴など手抜きせずにやっていただくことで、時折疲れてもしまう。自分の手が使えて何気なく暮らせたならどんなによいことかと、まだ思ってしまう。しかし、障がいのない人も同じ生活をしているのである。自分に厳しく生きることは、健康を維持するためのポイントだと思う。

毎日リハを受けられることに感謝しなければいけない。障がいを持つほかの仲間たちにも、毎日リハを受けて生きるテクニックを知ってほしい。

一覧へ戻る

コラムニスト紹介

小山内 美智子

障害者自立生活センター 札幌いちご会 理事長
前社会福祉法人アンビシャス施設長

プロフィール

1953年生まれ。
障害者自立生活センター 札幌いちご会 理事長。前社会福祉法人アンビシャス施設長。
自身、脳性麻痺で「ケアを受けるプロ」を自認。

2008年 悪性リンパ腫を発病したが、半年の闘病生活を経て、社会復帰を果たす。
北海道大学医学部作業療法学科で教鞭をとるなど、介護教育に力を入れている。

また、著書『わたし、生きるからね』(岩波書店)などほか多数あり。

著書・出版

トップページへ