へるぱ!

介護から学んだこと

第30回 新型コロナの感染防止でいろいろなことが       2020/12/25

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、訪問介護事業所はいっそうの配慮をしながらサービスを提供していますが、ここに来ていろいろな課題が出てきました。今まで、訪問途中でのトイレは、公共施設やコンビニ等を利用させてもらっていましたが、使用禁止になりました。

 以前、町田市内の介護サービスを提供する人たちが駐車禁止の課題を解決するために、施設や事業所に呼びかけ、駐車場をシェアし合うことになりました。これにはかなりの時間がかかりましたが、呼びかけた人たちの熱意と行動力で実現しました。トイレのシェアについても施設や事業所に呼びかけた結果、多くが賛同してくれました。日ごろから連携するなかで、課題を話し合う姿勢と経験が積み上げられてきたからこそ、早期対応に結びついたのです。利用者によりよいサービスを提供するとともに、サービスの質向上を図る姿勢が根づいているからだと思います。

 定例のサ責カフェ(町田市介護人材開発センター主催)も3月、4月は中止となり、5月はオンラインで開催しました。慣れないせいか参加者は少なかったのですが、「新型コロナ感染防止で取り組んでいること」について話が弾みました。マスク・消毒剤の確保、使い捨てできるビニールのレインコートの使用等々、衛生管理についても話し合いました。訪問介護員の方々の不安が増大し、休む人も出てきてサ責が穴埋めすることも多くなっているようです。感染防止に神経を使うことがストレスとなり、就業時間もオーバー気味と言います。

 マスクをしてケアを行うことは、想像以上に負担がかかります。特に入浴介助などでは、狭い浴室で利用者に密着し、息苦しくなって倒れそうになった訪問介護員もいたそうです。「マスクはどうしても必要なのか」「ケースバイケースで考えてよいのか」「やはりつけなくてはいけないのか」「マスク着用は決められているのか」など、いろいろな意見が出て、医療と介護の連携の管理者が訪問看護師へ聞くことになりました。オンライン会議の翌日回答があり、標準の感染予防策、手洗い・マスク着用で対応、今後は行政の発表などを参考に対応を考えていくとのことでした。

 訪問介護サービスの現場では、熱中症なども考慮しながらの観察や工夫がよりいっそう求められます。生活を支援することの重要性はますます増大し、難題も多くなりますが、ケアの質を発揮できる機会にしたいですね。

一覧へ戻る

コラムニスト紹介

是枝 祥子

大妻女子大学 名誉教授

プロフィール

昭和39年東洋大学社会学部応用社会学科卒業後、児童相談所、更生相談所、特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、ヘルパーステーション等、数々の現場勤務を経験。

1998年より大妻女子大学人間関係学部人間福祉学科教授で同学部の学部長も務め、現在は同大学名誉教授。

介護職員の研修をはじめ、多くの介護人材育成に携わる。

著書・出版

トップページへ