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知って得する薬の話!

第17回 一般用医薬品と医療用医薬品      2023/04/17

介護コラム

新型コロナ感染症が世界中に広がって、早くも3年間の月日が流れました。
この間、慢性疾患を抱えた患者の受診控えが懸念されています。
受診をすることによって、新型コロナ感染症に罹患するのではないか?
糖尿病であれ、高血圧であれ、脂質異常症であれ、これらの疾患はサイレントキラーと言われ、重症にならなければ、際立った症状がでませんので、受診を先延ばしにしてしまいます。

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新型コロナ感染症の発生以来、頭痛・発熱・咳・腹痛などの軽微な症状の時は、近くの薬局、ドラッグストアで薬を買い、様子を見るようになりました。
しかし、糖尿病治療薬・高血圧治療薬・脂質異常症治療薬はドラッグストアでは、治療薬を買うことができません。本来はきちんと受診をして、治療を続ける必要があります。
これらの薬は、医師の診断のもと、治療に使う薬が処方され、薬局で薬を調剤してもらいます。
しかし、一般の方にとり、どの薬が薬局やドラッグストアで買えて、どの薬が医師からの処方箋がないと買えないのか?なかなかわかりにくいのかと、思います。

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それに加えて、オンライン診察も実施され、医療現場はなお複雑になっています。
新型コロナ感染症の発生以降、薬局やドラッグストアは、マスク・衛生用品・解熱鎮痛薬の購入などで業績を伸ばしています。今回は、一般用医薬品と医療用医薬品のお話をさせて頂きます。

セルフメディケーション

セルフメディケーションという言葉をよく耳にするようになりました。
日本という超高齢社会の中で、新型コロナ感染症の流行以前は、医療費が42兆円と10年前の1.1倍の伸びを示しています。
医療費を抑制するために、いろいろな方策が取られています。
・元気高齢者を増やすための予防の重視
・後発医薬品の推進
・病床数の削減
・かかりつけ医制度の推進
・高齢者の自己負担額の変更 などなど
そしてセルフメディケーションの推進です。
世界保健機関(WHO)では、セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義しています。
セルフメディケーションとは、ちょっとした軽微な症状(頭痛・胃痛・生理痛など)は個人の責任範囲で治して行きましょう、という考え方です。
症状が改善しない場合に、初めて医療機関を受診します。

要指導医薬品と一般用医薬品

一般用医薬品は、一般の方が、薬剤師か登録販売者に相談に乗ってもらい、自ら選び、使用する薬のことを言います。一般用医薬品を適切に選び、適正に使用するためには、医薬品それぞれの分類に応じた方法で購入する必要があります。
※医薬品の分類については、コラム下部の表をご参照ください。

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高齢者は多くの疾患(糖尿病・高血圧など)を持っていますが、軽微な疾患(頭痛・胃痛・風邪症状など)のときは、一般用医薬品で治療を試み、改善しない場合に医療機関を受診します。
要指導医薬品(アレルギー治療薬や鎮痛薬など)、第一類医薬品(胃酸を抑えるH2ブロッカーや一部の毛髪用薬など)については、薬剤師により販売又は授与させなければならないこととされています。第二類医薬品又は第三類医薬品については、薬剤師又は登録販売者に販売又は授与させなければならないこととされています。
そのため、要指導医薬品、第一類医薬品は、その店舗において薬剤師がいない場合には、販売又は授与を行うことができません。
要指導医薬品は、医療用医薬品から転用されたばかりの薬を指します。
新しいうちは、まだ取扱いに十分な注意が必要です。
自分の健康は、自分で守る!
要指導医薬品はもちろんですが、一般用医薬品でも、第一類医薬品は薬剤師に、第一類以外の一般用医薬品は薬剤師または登録販売者に、対面で相談しながら購入することをお勧めします。

医療用医薬品

医療用医薬品は、患者が医療機関を受診し、医師が診断し、治療のために必要な医薬品を医師が選択する医薬品のことを言います。

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医師の診断の後、処方箋を受け取り、薬局に行って薬を調剤してもらい薬を受け取ります。
薬はもろ刃の剣です。医療用医薬品は、薬の効果が高い反面、副作用に気をつけなければなりません。
薬の選択は医師がします。
副作用が出た場合も、中止・継続の判断は、医師・薬剤師などの専門職の判断となります。副作用が出た場合は、必ず専門職に相談し、勝手に現場で中止・継続の判断をしてはいけません。

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現場では「薬、薬」と、よく使い分けもせずに使っていますが、このように薬は大きく分けて、2種類に分かれます。
薬の使い分けをよく学び、現場で適切に支援していきましょう。

分 類 定  義




医療用医薬品 医師等によって使用されたり医師等の処方箋や指示によって使用されるもの
要指導医薬品 販売時に薬剤師による対面での情報提供・指導が義務づけられたもの
(医療用医薬品から移行して間もなく、リスクが確定していないもの)
一般用医薬品 医療用医薬品以外の医薬品で、一般の人が薬局等で購入し、自らの判断で使用するもの 第一類医薬品 リスクが
特に高いもの
薬剤師に、販売または授与されなければならない
第二類医薬品
(指定第二類医薬品)
リスクが
比較的高いもの
(より注意を要するもの)
薬剤師または登録販売者に、販売または授与されなければならない
第三類医薬品 リスクが
比較的低いもの

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コラムニスト紹介

藤澤 節子

NPO法人DANKAIプロジェクト副理事長
NPO法人在宅医療・緩和ケアカンファレンス理事

プロフィール

薬剤師。北里大学薬学部薬学科卒。調剤薬局を経営するかたわら、訪問薬剤師として在宅医療に従事。現在、NPO法人DANKAIプロジェクト副理事長、NPO法人在宅医療・緩和ケアカンファレンス理事を務める。

著書・出版

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