へるぱ!

知って得する薬の話!

第13回 脱水症      2022/7/8

私たちの体の6割が水分で出来ています。

介護コラム

一日の水分摂取量は、成人では2.5Lも必要です。

人類の横暴により、年々、地球の温暖化による異常気象で、暑い夏が続いています。日本もご多分に洩れず、北海道でも真夏日を記録しています。
このような状況の中で、在宅に伺うと自己管理が難しい高齢者が多く暮らしています。
例えば、

・節約のために冷房を入れずに暑い部屋で汗を流している
・認知症が進行して、夏でも毛糸の上着を羽織っている
・外での排泄の失敗が心配で水分を控えている
など、様々です。
夏は高齢者にとって脱水症の危険性を含んだ「魔の季節」と言えます。
脱水症とは、水分や体内の塩分やカリウムなどのミネラルが汗で失われている状態です。
夏は、一日に飲水した以上の水が、尿や汗で排出されます。
その上、高齢者の場合では、本人が気づかぬうちに脱水症が進行して行きます。
施設でも在宅でも、脱水症を見つけたらすぐに補水する必要があります。

脱水症の見分け方

・舌の表面が乾いている(口腔内のつばの減少)
・脇の下が乾いている
・手を握ると冷たい(手足に血液が送られなくなる)
・皮膚をつまんで3秒以上元に戻らない(水分の減少によって弾力性を失う)
・親指の爪を押しても赤みが出るのが遅い(末端まで血液が送られていない)
・微熱
・喉が乾く
介護コラム

緊急性が高いのは、血圧低下や意識障害やショック症状が出た場合です。
医療職と連携を取りながら、より早く、適切に対応します。

介護コラム

夏に多い脱水症ですが、冬でも脱水症は起きます。
暖房が強すぎる、重ね着で汗をかくなどでも、気が付かないうちに脱水症が始まっています。
脱水症に気が付いたら、水やお茶など水分の補給は当然ですが、より効果的な補水は、適度のミネラルを含んだ経口補水液の摂取です。

経口補水液の作り方

・水 500ml
・砂糖 20g (大さじ2)
・塩 1.5g(親指と人差し指でひとつまみ)
・レモン汁 (レモン1/2個 ポッカレモン代用)

介護コラム

*市販の経口補水液も販売されています。

命に関わるので、どの季節も、利用者の水分摂取には気をつけます。
また、嘔吐や下痢によって、急速に脱水症が進行します。
下痢の症状がひどい時は、下痢止めを使うことも必要です。

介護コラム

下痢止め

医療用医薬品

・ロペミン: 蠕動運動抑制作用や、水分やミネラルの異常を抑えて、下痢を止める。

・次硝酸ビスマス:腸内でのガス刺激を和らげ、下痢を止める。

・タンニン酸アルブミン(タンナルビン): 腸管における穏やかな収れん(腸粘膜を引き締める)作用により下痢を止める。

・フェロベリン:下痢止めに加え、有害細菌に対しての抗菌作用がある。

一般用医薬品
・ストッパ
・ビオフェルミン下痢止め
・正露丸 など
介護コラム

便秘薬の乱用による下痢もある。
下痢止めの使用に関しても、医療職と連携して行う。

一覧へ戻る

コラムニスト紹介

藤澤 節子

NPO法人DANKAIプロジェクト副理事長
NPO法人在宅医療・緩和ケアカンファレンス理事

プロフィール

薬剤師。北里大学薬学部薬学科卒。調剤薬局を経営するかたわら、訪問薬剤師として在宅医療に従事。現在、NPO法人DANKAIプロジェクト副理事長、NPO法人在宅医療・緩和ケアカンファレンス理事を務める。

著書・出版

トップページへ