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知って得する薬の話!

第4回 アルツハイマー型認知症薬

1999年11月に初めてアルツハイマー型認知症の薬としてアリセプトが発売されて以来、約10年ぶりの2010年3月に、新薬の3種類が承認されました。そしてそのアルツハイマー型認知症の新薬が発売されてから1年以上経ち、最近では「言葉がはっきりとし、会話ができるようになった」「孫の名前を思い出した」「笑顔が増えた」など、うれしい話を耳にするようになりました。

ここでアルツハイマー型認知症の薬の注意点を確認しましょう。下記の表をご覧ください。

【アルツハイマー型認知症の薬】

商品名 一般名 作用 主な副作用 剤形
アリセプト ドネペジル アセチルコリン分
解酵素阻害薬
食欲不振、嘔気、
嘔吐、下痢
錠剤・口腔内崩壊錠・
内服ゼリー・細粒・
内用液
レミニール ガランタミン アセチルコリン分解
酵素阻害薬
+神経伝達物質の分泌促進
悪心、嘔吐、食欲不振、
下痢、食欲減退、頭痛
錠剤・口腔内崩壊錠・
内容液剤
イクセロン
リバスタッチ
リバスチグミン アセチルコリン+
ブチリルコリン分解酵素阻害薬
適用部位の紅斑、
接触性皮膚炎、
浮腫、皮膚剥脱、嘔吐、
悪心、食欲不振
貼付剤
メマリー メマンチン NMDA型グルタミン
酸受容体阻害薬
めまい、便秘、
体重減少、頭痛
錠剤

認知症の薬は、体が薬に慣れるよう最初は少量の処方で、徐々に増量していきます。副作用がなければ、ドネペジル・メマンチンは1~2週間ごとに、ガランタミン・リバスチグミンは4週間ごとに患者さんに合った量にまで増量します。(それぞれの薬には上限の量があります。)投与開始初期や増量後は、悪心・嘔吐・下痢などの消化器系の副作用が表れやすいですが、ほとんどの場合、薬を飲み続けることで解消されます。どうしても副作用が辛く、体力の消耗が激しいときは薬を中止せずに主治医に相談して、吐き気止めや下痢止めなどの薬を一時的に用いることで対処できます。嘔吐あるいは下痢があらわれた場合は、充分に水分を摂取し、脱水症状に気をつけましょう。

アルツハイマー型認知症の薬を中止した場合は、認知機能が服薬前のレベルまで一気に低下し、服薬を再開しても中止前のレベルまで回復しないことが知られています。介護する方は勝手に薬の量を変えたり、中止しないよう配慮する必要があります。

アルツハイマー型認知症の薬には、様々な剤形が発売されており、嚥下機能に応じて服用しやすい剤形を選べます。貼付剤タイプであれば食事の有無・時間を気にする必要はないので介護する方が直接貼ることもできますが、貼付した部位への皮膚刺激を避けるためにも貼付する箇所を毎回変更しましょう。

<参考>
アリセプト添付文書
メマリー添付文書
イクセロンパッチ添付文書
「介護者が知っておきたい薬のはたらきとつかいかた」藤澤節子著
「病気と薬パーフェクトBOOK2012」『薬局2012年3月増刊号』(vol.63,No4)

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コラムニスト紹介

藤澤 節子

NPO法人DANKAIプロジェクト副理事長
NPO法人在宅医療・緩和ケアカンファレンス理事

プロフィール

薬剤師。北里大学薬学部薬学科卒。調剤薬局を経営するかたわら、訪問薬剤師として在宅医療に従事。現在、NPO法人DANKAIプロジェクト副理事長、NPO法人在宅医療・緩和ケアカンファレンス理事を務める。

著書・出版

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