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第6回 介護福祉機器導入時に使える助成金      2018/11/5

 今回のコラムは、は平成30年4月より名称も内容も変更された「人材確保等支援助成金」(介護福祉機器助成コース)について触れていきたいと思います。
 この「人材確保等支援助成金」は平成30年3月まで「職場定着支援助成金」と呼ばれていましたが、名称が変更されました。このコラムの読者の皆様は、訪問介護事業所の関係者が多いと思いますが、同一法人内で通所系サービスや施設系サービスを行っている法人であれば、この助成金を活用するメリットはあると思います。

 この「人材確保等支援助成金」(介護福祉機器助成コース)には「機器導入助成」と「目標達成助成」があり、「機器導入助成」は支給対象経費の合計額(税込)の25% (上限150万円)、「目標達成助成」も支給対象経費の合計額(税込)の20% (生産性要件を満たした場合は35%)(上限150万円)が支給されます。要件を満たせば、「機器導入助成」と「目標達成助成」の合算した額が受給できます。支給対象経費には介護福祉機器の導入費用だけでなく、保守契約費、機器の使用を徹底させるための研修費も含まれます。(設置費用は除く)

<機器導入助成>

 「機器導入助成」において、費用助成される具体的な福祉機器は以下の通りです。

  1. ① 移動・昇降用リフト(立位補助機、非装着型移乗介助機器を含む)
  2. 装着型移乗介助機器
  3. ③ 自動車用車いすリフト
  4. ④ エアーマット
  5. ⑤ 特殊浴槽
  6. ⑥ ストレッチャ

 上記の太文字かつアンダーラインが引かれた箇所が新しく費用助成されることになった福祉機器で、いわゆる「介護ロボット」と呼ばれるものが新しく入ってきました。平成30年4月からの介護報酬改定においても、特別養護老人ホームの夜勤職員配置加算でも見守り機器を導入した場合、人員配置基準が多少緩やかになったことをご存知の読者の方も多いと思います。(実際にはもう少し細かい基準がありますが、ここでは省略します)
 これからの介護事業所において「介護ロボット」の導入は人材不足対策として検討すべき重要事項になっていくことは間違いない流れだと思います。

 それでは次に助成金を受給するためのその他の要件について見ていきたいと思います。

(1)計画を作成し、労働局長の認定を受けること

 計画の作成にあたっては、以下の内容を検討してください。

 計画期間は3カ月以上1年以内で、計画開始日からさかのぼって、6か月前~1か月前の日の前日までに各都道府県労働局に提出してください。(ハローワークでよい場合もあります)

(2)認定された導入・運用計画に基づき機器を導入し、介護労働者の雇用管理改善に努めること

 介護福祉機器の導入とは、介護福祉機器を設置または整備することをいい、運用とは、当該機器を適切かつ効果的に活用して介護関係業務に用いることをいいます。
 また、助成金の支給を受けるためには、機器の導入前と機器の導入後、計画期間終了までに、介護福祉機器を導入する部署で、介護福祉機器を使用する介護労働者だけでなく介護関係業務に従事している全ての介護労働者(雇用保険一般被保険者以外も含む)に、 それぞれ実施したアンケート結果に基づき、導入効果を測定・評価します。アンケートの回収率が80%以上で、身体的負担が大きいと感じている職員数の改善率が70%以上であった場合に機器の導入関係費用について支給決定を行います。

(3)雇用管理責任者を選任していること

 雇用管理の改善への取組、労働者からの相談への対応、その他労働者の雇用管理の改善等に関する管理業務を担当する人をいいます。

<目標達成助成>

 次に「目標達成助成」の要件については、「離職率」が大変重要になってきます。
「離職率」が30%以下で、なおかつ定められている目標値以上に低下させることが求められます。
「目標達成助成」における「離職率」とは、以下の計算式になります。

「離職率」=所定の期間における離職による雇用保険一般被保険者資格喪失者数 ×100
  所定の期間の初日における雇用保険一般被保険者数

「所定の期間」は算出する「離職率」によって異なります。

低下させる離職率ポイント(目標値)

 評価時離職率を、計画時離職率より下表に記載する離職率ポイント以上低下させることが必要です。目標値は、対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数の規模に応じて変わります。

対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数規模区分1~9人10~
29人
30~
99人
100~
299人
300人
以上
低下させる離職率ポ イント(目標値)15% ポイント10% ポイント7% ポイント5% ポイント3% ポイント

※[計画時離職率-目標値]の値が0%を下回る場合は、評価時離職率を0.0%とすることを目標とします。

 以上「人材確保等支援助成金」(介護福祉機器助成コース)の重要なポイントについてまとめてみましたが、実際にはさらに細かい支給要件や不支給要件があります。助成金申請をお考えの場合は各都道府県労働局や助成金申請を取り扱っている社会保険労務士さんと相談しながら進められた方が良いと思います。

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コラムニスト紹介

吉澤 努

よしざわ社労士・社会福祉士事務所、特定社会保険労務士

プロフィール

社会保険労務士として独立するまでに、介護老人保健施設、通所リハビリ、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター等を経営する医療法人に約12年在籍し、法人全体の人事・労務管理に携わる。

平成26年に現事務所を開業。現場を直接見てきたという経験に、労働法・社会保険制度・助成金制度の専門家である社会保険労務士という法的な観点をミックスさせた「実践型介護特化社会保険労務士」として活動中。

<保有資格等>
特定社会保険労務士/社会福祉士/第1種衛生管理者/八王子市社会福祉審議会 高齢者福祉分科会委員/東京都介護労働安定センター 雇用管理アドバイザー/医療福祉接遇マナーインストラクター

著書・出版

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