へるぱ!

今なら語れる「障害を越えて」

第21回 同行は右、それとも左

 視覚障がい者に同行する際、介助者が利用者の左右どちら側に立てばよいかについて、3回に分けてお話ししたいと思います。今回は、「歩道での誘導時における基本姿勢」です。

 まず、利用者の正面に立ち挨拶をします。利用者が白杖を使用していない場合は、利用者の左右どちら側に立って誘導すればよいかを尋ねてみましょう。白杖を利用している場合は、白杖を持たない側に進み、基本姿勢の説明をします。白杖を持っている側に立ち基本姿勢を求めても、利用者は白杖が使えないため身動きがとれません。その際、「右ですか?左ですか?」の問いかけは不要となります。

 同行援護の講座では、「歩道の誘導時、利用者が車道側を歩いている場合、介助者が場所を交代した方がいいですか?」といった質問を受けます。正しい誘導の仕方は「白杖をどちら側で使用しているか」がポイントです。利用者が車道側を歩かないよう介助者がどんなに意識しても、白杖を持つ利用者の手が車道側ならば場所の交代はNGです。その際は利用者にできる限り歩道の内側を歩いてもらうよう誘導しましょう。

 誘導で大切なことは、常に利用者の立場になり、利用者基準で考えることです。例えば、町の風景を説明する時「右側に何々があり、左に何々がある」と具体的に伝え、久し振りに外出した楽しみを充分に味わってもらうといいでしょう。一方、話しが弾みすぎて「右から人が来る! 左に自転車が! 看板が!」と事細かに説明をすると、かえって利用者を不安にさせてしまうこともあります。あくまでも基本姿勢の範囲内、かつ、危険を避ける誘導を常に意識してみてください。

 また、利用者が求めていることは何か? 自分が利用者ならどんなことを説明してほしいか? 想像力を巡らせて介助することです。町の曲がり角、信号を渡る時、渡りきったことを伝えるだけではなく、利用者が望むなら、周囲の状況をできるだけ説明しながらの同行をお願いします。

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コラムニスト紹介

山田 猛

ガイドヘルパー(視覚障害者)

プロフィール

1941年 中国・元満州国安東省生まれの引揚者。

1969年 立正大学経済学部を卒業後、運輸会社へ入社。航空貨物部門で海外宅配便と新規事業開発で書類宅配便クーリエサービス業務の立上げの責任者となる。のち、ISO品質管理室長として全国支店を飛び回り指導に励む。また会社品質向上を担当。

2000年9月 定年半年前に角膜移植手術を受けるが、移植に失敗。強度の視力障害を持つ中途失明者となる。
定年後、第二の人生設計を立てていたところに抱えた大きな障害。生きる希望をも見出せず失望の淵に立たされた時期を乗り越え、現在、同じ境遇の人たちを救うため介護福祉について勉強中。

介護を受ける立場にかかわり、介護をされる皆様に何を求め、また考えているかを視覚障害の症状、環境変化がありすべての方の問題とか解決策とはなりませんことをご理解頂き、あくまでも私個人として利用者が感じた点を記述してみたいと思います。

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