へるぱ!

サ責に求められるもの

第5回 チームケアの意識       2017/10/18

過日、介護支援専門員の友人に「できるサ責、有能なサ責と感じる人って、どんな人?」「この人なら安心と思えるサ責のタイプは?」とさりげなく聞いてみました。すると、「必要な情報を適切に報告してくれる人かなぁ!」という返事がきたのです。

彼女によれば、どこの訪問介護事業所も一生懸命やってくれていて、利用者の状況をしっかり伝えてくれる熱心なサ責が多いと言います。ただ、サ責の中には、利用者の状況や自分たちの支援状況など事実のみを話して帰っていく人も少なからずいるようで、「わざわざ報告に来てくれたのだから、何らかの課題や疑問を持っているのだろうけど…」「何を言いに来たのかな?と不思議な気持ちになることがある」と言うのです。

そのようなサ責は、判断や決定は介護支援専門員が行うものと考え、事実のみを伝えているのかもしれません。しかし、介護支援専門員は、利用者の生活状況から訪問介護員の想いを推し量ることはできません。事実に対する想いや気づき、支援に対する意見などを伝えなければ、介護支援専門員はサ責から受け取った情報をどのように取り扱うべきか判断ができません。友人は「信頼できる、任せられる、安心できるサ責というのは、きちんと自分の意見を言ってくれる人かなぁ」と言います。

「チームケアとは何か」を正しく理解しているサ責や介護支援専門員は、互いの関係が横並びであると認識しているため、互いの役割を尊重しながら適切な情報交換、体験共有ができます。サ責と介護支援専門員は縦の関係ではありません。独自の専門性を有した横並びのチームケアメンバーです。つまり、業務・役割の異なる利用者支援のパートナーという位置づけなのです。

サ責の皆さんにお願いしたいこと。それは、訪問介護員としての意見や想いを他の職種にしっかり伝えること、です。主語は「私」で! 一人のサ責が利用者との関わりをどう評価し、今後どのように関わっていきたいかをあなたの言葉でしっかりと説明して下さい。介護専門職であるあなたの介護観や支援観をチームメンバーに伝えること、それもチームの一員として必要なことであり、サ責の役割であることを忘れないで下さい。

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コラムニスト紹介

松井 奈美

植草学園短期大学 教授

プロフィール

東洋大学大学院福祉社会システム専攻修了。千葉県習志野市福祉課に入庁し、介護職員として勤務。浦和短期大学講師、新潟医療福祉大学講師、日本社会事業大学社会福祉学部講師、准教授、同実習教育研究・研修センター副センター長などを経て、平成25年4月より現職。 主な研究領域は在宅介護実践論、チームケアにおける連携、訪問介護サービスの質の向上に関する研究等。

『知っておきたい在宅ターミナルケア』(社福協)のほか、『改訂版サービス提供責任者の必須知識』(社福協)ではサービス提供責任者(サ責)における実務内容の項を執筆するなど著書、論文多数。

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