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知りたい!介護サービス

第16回 訪問介護における実地指導への対応ポイント(3)

実践的な検証ポイント!!
~ 指定基準(人員基準・設備基準・運営基準)に関すること ~

 自らの実地指導の経験や他事業所の指導内容や指摘内容を参考に、検証すべきポイントをまとめてみました。実地指導を想定した内容となっています。

検証事項
人員基準・設備基準・運営基準に関すること
(1)人員基準や労働法規の順守状況の確認(特に、サービス提供責任者の配置基準に関すること)
タイムカード、出勤簿、労働条件通知書(労働契約書或は辞令)、就業規則、勤務表
履歴書、資格証等
(2)訪問介護計画の作成(サービス提供責任者の業務)
① 計画内容
■ 援助の方向性や目的(有する能力に応じ日常生活が営むことができるように/軽減・悪化防止に資するための目標設定がされていること)
■ 目的を達成するための具体的内容
■ 所要時間(個別行為の所要時間を示し、積算根拠を明らかにする)
■ 提供日程
■ 担当する訪問介護員名
■ 作成したサービス提供者責任名
■ 利用者(家族)の意向・希望(利用者等の希望を踏まえ計画作成することとされている)
② 作成時の留意事項
■ 居宅サービス計画に沿って作成
■ 利用者の生活状況や希望を踏まえている(計画書に記載している)
■ 目標等はアセスメントに基づいている(アセスメント票が作成されている)
③ 介護計画(書)の取扱い
■ 利用者又は家族に説明
■ 利用者に同意を得て、交付する(交付日に留意すること 計画内容のサービスが提供される前の日付になっていること)
④ 作成後の管理
■ 実施状況や目標達成度の度合い満足度を把握し、評価(モニタリング)する
■ 上記を踏まえ、必要に応じて介護計画を変更する
■ 実施状況や評価は、利用者又は家族に説明する
 ※ モニタリング票が作成されていること。そしてその書面に、説明者や説明を受けた者の名前と、説明日の記載をするとよい
■ サービス担当者会議等を通じて、利用者の心身状況等を把握する
 ※ サービス担当者会議の要点などにおいて、指定訪問介護を適切に提供するために資すると思われる情報があれば、介護計画に反映させる
■ 訪問介護計画に沿ってサービスが実施されているか把握するとともに、訪問介護員等に助言、指導等必要な管理を行う
⑤ 介護計画の作成時
■ 新規契約時/更新時/区分変更時/居宅サービス計画の変更時
 ※ 計画内容が変わらなくても作成されていること(作成日や目標のみの変更の可能性もあり)/作成時はアセスメントも行っていること
⑥ 介護予防訪問介護について(訪問介護との違い)
■ 少なくとも月に1回は、利用者の状態、サービスの提供状況等について、指定介護予防支援事業者に報告する
■ サービス提供を行う期間が終了するまでに、少なくとも1回は介護計画についてモニタリングをし、結果記録を指定介護予防支援事業者に報告する
(3)秘密保持について
① 利用者並びに家族に対する
■ 「個人情報の取得及び利用に関する同意書」を取り交わしている
 ※ 利用者本人だけでなく、家族の同意も得ていること
② 従業員に対する
■ 雇用条件(労働条件通知書等)に秘密保持について義務を設けている
 ※ 退職後についても守秘義務を設けていること(違約金規程など)
③ 個人情報の管理・取り扱いに関する取組の記載について
■ 利用契約書及び重要事項説明書
■ 運営規程(掲示用も含む)
■ 個人情報管理規程の作成(規程の概要を相談室や事務所に掲示)
■ サービスや事業所の案内などのパンフ等(スペースを設け記載)
④ 個人情報が載っている書類(利用者等の個人ファイルなど)等の保管状況
■ 万一の情報の漏えいがないよう施錠できる所に保管するなど、十分な管理体制がとれている(書類が納められている書庫等の保管状況の確認)
(4)手続き・対応・記録について
① 内容及び手続の説明及び同意/重要事項を記した文書の変更
■ 制度・介護報酬の改定時や特定事業所加算取得時のように、職員体制や運営体制、利用者の支払額に変更が生じた場合
 → 運営規程(掲示用含む)や重要事項説明書の変更
 → (変更内容について)重要事項を記した文書を交付して説明し同意を得る
 → 運営規程を変更する場合は変更届の提出が必要
 ※ 介護報酬改定のように全事業所を対象にした変更については、変更届の提出は必要としないが、特定事業所加算取得のように個別的な事情による変更があった場合は、変更届が必須
② 適切な相談及び助言
■ 例えば、家族からの介護技術に関する相談を受けたことがあり、介護方法について助言したことがある
そして、その記録がある
 ※ 「記録項目」:何時・相談した人・相談内容・助言内容・助言した人
③ 訪問介護記録
■ 訪問介護計画に沿って実施されている(訪問介護計画と照合)
■ 利用者の心身状況の記載がされている
■ 計画内容を変更しサービス提供を行った時の記録
 ……変更理由や変更により行われたサービス内容の記載がある
■ サービス区分やサービス項目に誤りなく記録されている
 ※ 例えば、身体介護の自立生活支援のための見守り援助のため、利用者にできるところはやってもらいながら調理を共に行ったときに、訪問介護区分として「身体介護」に、サービス項目として「自立支援的援助」に記録上しっかりとチェックがされているか
間違っても、サービス区分の違う生活援助の「調理」にチェックされていることはないか
④ 苦情処理及び事故発生時の対応
■ 「相談窓口、苦情処理の体制及び手順」「事故発生時の対応方法」が作成されている(概要を相談室や事務所に掲示している)
■ 運営規程(掲示用も含む)や重要事項説明書に、窓口や体制、対応方法などの記載がある
■ 対応記録が報告書として作成され、保存されている
そして、必要な措置を講じている(利用者、行政、居宅介護支援事業所等への連絡など必要な措置ができている)
(5)事業所内の掲示物等の確認
■ 運営規程の概要
■ (苦情処理の)相談窓口や体制及び手順等
■ 事故発生時の対応方法
■ 個人情報管理に関する規程
■ 個人ファイルの保管場所(個人情報の漏洩対策として施錠できる場所に保管されていること)
■ サービスや会社案内のパンフ(個人情報の取扱いや管理に関する記載があること)
(6)最終チェックポイント
■ 「利用契約書(重要事項説明書)の締結日」「介護計画書作成・交付日」「サービスの利用開始日」(日付からみて、各手続きの順序が、運営基準上適切となっているか)
■ 利用契約書・重要事項説明書(記載事項、署名捺印に漏れがないか)
■ 個人情報の同意書(同意日、家族も含めて同意を得ているか)
■ 介護保険被保険者証の写し等(被保険者証の写し、または、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確認した証としてのこれらの内容が記載された書面があるか)
■ 利用者の基本台帳
■ 居宅サービス計画書(第1~3表の交付を受けているか/介護計画が居宅サービス計画に沿っているか)
■ サービス担当者会議録(ケアマネより交付を受けているか/サービス提供に資する内容は介護計画に反映しているか)
■ アセスメント票(介護計画作成時にアセスメントが行われているか)
■ 訪問介護計画書(「(2)を参照」)
■ サービスの手順書(あるいは指示書)
■ モニタリング票(「(2) ④」を参照)
■ 訪問介護記録(「(4) ③」を参照)
■ 加算減算関係の記録書類
  (特定事業所加算や初回加算等の加算関係、同一建物に居住する利用者等の減算関係)
■ 通院介助のタイムテーブル
■ 居宅サービス計画第6~7表(サービス提供票及び別表の交付を受け、保管しているか)
■ 介護支援専門員との情報提供などの連携に係る記録
■ (利用者又は家族へ)介護計画の実施状況や評価(モニタリング)について説明したことに係る記録
■ 訪問介護員等の研修や技術指導の計画書とその実施記録並びにその時に使用した研修資料
■ 利用料領収書(請求書)の控え
■ 居宅サービス介護給付費明細書
■ 身体拘束、高齢者虐待、衛生管理に関するマニュアル、記録

『次回は、“介護報酬算定基準に関する”実地指導における具体的な検証ポイント等を掲載してまいります』

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コラムニスト紹介

堀口 直孝

シルバーケア・サービス豊住 顧問
経営コンサルタント

プロフィール

看護婦家政婦紹介所の上部団体である(社)日本臨床看護家政協会の管理者として家政婦の職場確保を支援するための事業の開発推進にあたる。

平成6年 健康保険法の改正により病院の付き添い介護が廃止されたため、家政婦たちの職場を在宅へシフトするためのモデル事業の実施会社を同協会内に設立。同社において在宅介護サービスを立ち上げ、東京都11区よりホームヘルプ事業を受託、介護保険制度施行後、指定事業者として管理、運営を行う。

平成14年 (株)ふれんどりーホームサービスを設立し、東京都千代田区を中心に訪問介護、居宅介護支援事業を実施するかたわら、同事業のコンサルタントも行う。平成30年より現職。

著書・出版

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