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第13回 生活援助の新時間区分への適切な対応を!

訪問介護の平成24年度改正の目玉は、『生活援助報酬における時間区分の見直し』についてです。
改正後1ヶ月以上経った今も、現場ではサービス提供時間をめぐって、サービス提供責任者だけでなくケアマネージャー含め、どうしたものか…といった手探りな状況がまだまだ見受けられます。
【時間区分の見直し内容】【ケアプラン(介護計画)見直しにあたっての基本的な対応】について、下記まとめてみました。しっかりと整理して適切な対応ができるようにしましょう。

■時間区分の見直し内容

下表の時間区分は、報酬を決定する基準上に示されているものです。

時間区分の見直し内容

■ケアプラン見直しにあたっての基本的な対応

・機械的に(短い)新時間区分に移行するわけではありません。
・あくまでも、適切なアセスメント及びマネジメントに基づき必要とされるサービス量など(プランに位置付けられている生活援助の内容や提供時間)について再検証します。
結果として、適切でないと判断(保険利用の範囲※外のサービスの提供やプランに位置付けられたサービスを行うのに必要な時間を超えて行っている事例が確認)されれば、利用者のニーズに応じた提供時間に変更されることになります。

≪生活援助の取扱い≫

◆介護保険では、自立支援に資するサービスに限定されています。したがって、身体介護と違って生活援助は、(当該利用者の生活維持に必要な)日常的な範囲の家事を、身体状況(自らが行うことができない)や生活環境(独居又は家族に障害・疾病があるなど)等で判断し、サービス提供の可否をも含め援助内容をプランに位置付けています。

なお今回の見直しは、必要なサービス量に上限を設けたものではないので、再検証の結果、適切であると判断されれば無理に変更することなく、従来どおりの提供時間を維持することも当然可能です。

・しかし、介護報酬における時間区分の見直しにより、提供時間に変更がない場合でも、サービス内容を表す略称(「生活援助2」や「身体1生活1」といった内容表示)が変更になるケースもあります。
・また、提供時間の長い生活援助については、利用者の生活リズムや援助内容を鑑みて、2区分での提供が適切と思われる場合は、別々の日に分けて提供する見直しもあります。

生活援助報酬の時間区分の見直しによるイメージ

■附記

せっかくサービス内容を再検証するので、身体介護が混在するようなサービス内容について、適切な介護報酬の類型(サービス内容の略称:(例)身体1生活1)にあてはめられているか、それにより適切な介護報酬の請求が行われているのかについても点検してみましょう。意外と「身体介護」を請求できるのに「生活援助」だけで請求をかけたりと、不適切な事例も少なくありません。
「身体介護」と「生活援助」が混在する場合は、サービス内容を「身体介護」と「生活援助」
にしっかりと区分し組合せ、介護報酬類型を確定し算定します。適切な介護報酬類型にあてはめる場合の「基本的な考え方」は、次のとおりです。

≪基本的な考え方≫

◆1.サービス区分の判断について
1回の訪問介護において「身体介護」と「生活援助」が混在するような場合は、各サービス行為の個々の時間によって細かく分類するのではなく、「身体介護」に該当する行為がどの程度含まれるかを目安に、全体としていずれの型の単位数を算定するか判断する。
特に身体介護に該当する行為が、3分類(動作介護、身の回り介護、生活介護)のいずれかにあてはまるかを見極め、いかなる身体介護行為がどの程度含まれるかが判断の基本となる。

◆2.身体介護を構成する行為の区分の基本的な考え方
身体介護の内容は広範囲であるが、訪問介護費の算定にあたり、区分を判断するために必要となる3の分類は、次のような考え方により区分をしている。分類の基礎となるのは「介護の手間(介護を要する
労力の質と要する時間の総体)」である。

『動作介護 (比較的手間のかからない介護)』
◎体位変換 ◎移動介護 ◎起床介助など
『身の回り介護 (ある程度手間のかかる介護)』
◎排泄介助 ◎部分清拭 ◎整容介助など
『生活介護 (相当手間がかかる介護)』
◎食事介助 ◎全身清拭 ◎全身浴介助など

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コラムニスト紹介

堀口 直孝

シルバーケア・サービス豊住 顧問
経営コンサルタント

プロフィール

看護婦家政婦紹介所の上部団体である(社)日本臨床看護家政協会の管理者として家政婦の職場確保を支援するための事業の開発推進にあたる。

平成6年 健康保険法の改正により病院の付き添い介護が廃止されたため、家政婦たちの職場を在宅へシフトするためのモデル事業の実施会社を同協会内に設立。同社において在宅介護サービスを立ち上げ、東京都11区よりホームヘルプ事業を受託、介護保険制度施行後、指定事業者として管理、運営を行う。

平成14年 (株)ふれんどりーホームサービスを設立し、東京都千代田区を中心に訪問介護、居宅介護支援事業を実施するかたわら、同事業のコンサルタントも行う。平成30年より現職。

著書・出版

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