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知りたい!介護サービス

第24回 保険外サービスを取り扱うときに(3)~ 介護保険サービスと組み合わせ提供する場合の取扱いについて ~       2019/3/11

 団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)に達し、3人に1人が高齢者となる2025年はもう目前です。少子高齢化による財政逼迫とさらに需要が増大する医療介護に対する社会保障改革は、“医療から介護へ”そして、“施設から居宅へ”の方向にあります。

 改革を推し進めるうえで、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるようなシステム(地域包括ケアシステム)作りが急務となっています。そして、地域包括ケアシステムを構築する上で、高齢者が抱える多様なニーズに対応したサービス、その1つとして、介護保険給付サービスだけでなく、保険外サービスの充実を図ることも重要なポイントとなってきています。

 しかし、介護保険サービスと保険外サービスを組合せて提供する具体的な運用面において、自治体間などで差異が見られます。それが両サービスを柔軟に組み合わせる際の障壁となっていることから、厚生労働省では、両サービス組合せに係る現行ルールを整理し、平成30年9月28日に通知※を発出、周知を図りたいとしています。

 保険外サービスの取扱いについては、(平成20年に作成した)第3回・4回のコラムにて留意ポイントを掲載してきました。しかしこのたび、厚生労働省よりルールに関する通知が発出されたことで、今までのコラム内容に一部修正や追記が必要な点がでてきましたので、お知らせいたします。
 ここでは「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱について」の通知内容に沿って掲載いたします。

※老推発・老高発・老振発・老老発0928第1号:
「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱について」(平成30年9月28日)

1.具体的な取扱いを示す基準

第3回コラムを参照

老企第25号:
「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」
第三 介護サービス  一 訪問介護  3 運営に関する基準 (10)利用料等の受領 ②

2.訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合について

(1)これまでの取扱い

第3回コラムを参照

老振第76号:
「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」
2 保険給付として不適切な事例への対応について
(2)訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合の例
  • ①訪問介護の対象とならないサービスを利用者本人に提供する
  • ②同居家族に対するサービスを提供する
    「提供可能な例」:
    訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、同居家族の部屋の掃除、同居家族のための買物のサービスを提供すること
    「提供不可能な例」:
    利用者本人分の料理と同居家族分の料理を同時に調理する
    ※ 訪問介護と保険外サービスを同時一体的に提供することは認めない

3.訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い

 以下の事項を遵守し、訪問介護と保険外サービスとを明確に区分すること。

  • ①指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定める(第4回コラムを参照)
  • ②(保険外サービス事業の)契約締結に当たり、重要事項を記した文書をもって説明、同意を得る(第4回コラムを参照)
  • ③居宅介護支援事業者と連携することとし、その際、担当介護支援専門員は必要に応じて、保険外サービスについて居宅サービス計画(週間サービス計画表)に記載する(第4回コラムを参照)
  • ④サービスを切り替えるタイミングを丁寧に説明する等、利用者が訪問介護とは別サービスであることを認識しやすいように配慮する
  • ⑤訪問介護の利用料とは、別に費用請求し、会計を区分すること(第4回コラムを参照)

<その他>
苦情を受け付ける窓口を設けること(訪問介護の苦情窓口を活用することが考えられる)
個人情報の取り扱いは、(訪問介護と同様に)保護の措置が講じられていること

4.(保険外サービスに係る)サービス提供責任者について

 指定訪問介護に専従することとされているが、業務の支障のない範囲で保険外サービスに従事することは可能である。

5.区分支給限度額を超過したサービスについて提供した場合の取扱い

 超過分(法定代理受領でない指定訪問介護)の価格は、介護保険サービスと同水準が望ましい(第3回コラム……老企第25号を参照)。

 ただし、利用者等に両サービスの違いについて文書により説明、同意を得ることで、介護保険サービスにおいて事業者に支払われる費用額とは別の価格設定が可能である。

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コラムニスト紹介

堀口 直孝

シルバーケア・サービス豊住 顧問
経営コンサルタント

プロフィール

看護婦家政婦紹介所の上部団体である(社)日本臨床看護家政協会の管理者として家政婦の職場確保を支援するための事業の開発推進にあたる。

平成6年 健康保険法の改正により病院の付き添い介護が廃止されたため、家政婦たちの職場を在宅へシフトするためのモデル事業の実施会社を同協会内に設立。同社において在宅介護サービスを立ち上げ、東京都11区よりホームヘルプ事業を受託、介護保険制度施行後、指定事業者として管理、運営を行う。

平成14年 (株)ふれんどりーホームサービスを設立し、東京都千代田区を中心に訪問介護、居宅介護支援事業を実施するかたわら、同事業のコンサルタントも行う。平成30年より現職。

著書・出版

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