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第23回 「改訂版 サービス提供責任者の必須知識」をお持ちの皆さんへ
平成30年度の介護報酬改定に伴う主な更新箇所のお知らせ(2)       
2018/12/18

 今回も前回に引き続き、本サイト「へるぱ!」を運営している一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会が平成27年6月に発行した書籍「改訂版 サービス提供責任者の必須知識」をお持ちの皆さんへ、平成30年度の改定に伴い、介護報酬(P60~P78 第2章10の介護報酬の請求等)に関する内容が更新・変更された主な箇所(今回はP73以降)について記載したいと思います。

☞ 更新・変更箇所は、赤字とアンダーラインで表示しています。

5.訪問介護費

追 記
(12)緊急時訪問介護加算
留意事項

●20分未満の身体介護に引き続き生活援助を行う場合は、生活援助の単位数を算定できない(当該身体介護に引き続き生活援助を行うことができない)。ただし緊急時訪問介護加算を算定する場合は、生活援助の単位数を算定できる。

更 新
(14)生活機能向上連携加算
生活機能向上連携加算(Ⅱ) 200単位/月
生活機能向上連携加算(Ⅰ) 100単位/月

 自立支援型のサービス提供を推進し、利用者の在宅における生活機能向上を図るため、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションまたはリハビリテーションを実施している医療提供施設*(原則として許可病床数が200床未満のものに限る)の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士または医師(以下、「理学療法士等」という)と連携することについて評価した加算となっています。

※「リハビリテーションを実施している医療提供施設」とは、 診療報酬における疾患別リハビリテーション料の届出を行っている病院もしくは診療所または介護老人保健施設、介護療養型医療施設もしくは介護医療院をいう。

算定要件
加算(Ⅱ)
次のア.~カ.の要件を満たしていること。
  • ア.理学療法士等が利用者の居宅を訪問する際にサービス提供責任者が同行する、または理学療法士等およびサービス提供責任者が利用者訪問後に共同で評価した結果に基づき生活機能向上を目的とした訪問介護計画を作成していること。
  • イ.当該理学療法士等と連携して、当該訪問介護計画に基づく訪問介護が提供されていること。
  • ウ.当該計画に基づく初回の訪問介護が行われた日の属する月以降3月の間、(途中、訪問リハビリテーションまたは通所リハビリテーション等が終了しても)算定できる。
  • エ.3月を超えて本加算を算定する場合は、再度ア.の評価に基づき訪問介護計画を見直す必要があること。
  • オ.訪問介護作成に当たっての留意事項
    訪問介護計画には、生活機能アセスメントの結果のほか次の内容について記載をすること。
    • a.可能な限り自立で行おうとする行為の内容
    • b.a.の内容について定めた達成目標(3月を目途とした)
    • c.b.の目標達成するための各月の経過的目標
    • d.b.及びc.の目標達成のための訪問介護員が行う介助内容
    • e.b.及びc.の目標達成については、利用者の意向や担当の介護支援専門員の意見も踏まえ策定するとともに、達成度合いが客観視でき意欲向上につながるよう数値を用いる等、具体的かつ客観的な指標で設定すること
      <訪問介護計画及び計画に基づく指定訪問介護の内容の例>
      達成目標 :
      「自宅のポータブルトイレを1日1回以上利用する(目標として座位の保持時間)」を設定
      (1月目)
      訪問介護員等は週2回の訪問の際、ベッド上で体を起こす介助を行い、利用者が5分間の座位を保持している間、ベッド周辺の整理を行いながら安全確保のための見守り及び付き添いを行う。
      (2月目)
      ベッド上からポータブルトイレへの移動の介助を行い、利用者の体を支えながら、排泄の介助を行う。
      (3月目)
      ベッド上からポータブルトイレへ利用者が移動する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じて介助を行う(訪問介護員等は、指定訪問介護提供時以外のポータブルトイレの利用状況等について確認を行う。)
  • カ.加算算定期間中は、利用者および理学療法士等に各月の目標に対しての達成度合いを報告し、必要に応じて利用者の意向を確認し、理学療法士等から必要な助言を受けたうえで適切な対応を行うこと。
加算(Ⅰ)
次のキ~コの要件並びにイ、オ及びカの要件を満たしていること。
  • キ.理学療法士等が訪問リハビリテーション等のサービス提供の場において、またはICTを活用した動画やテレビ電話により、利用者の状態を把握したうえで、サービス提供責任者に助言を行い、サービス提供責任者は、その助言に基づき生活機能向上を目的とした訪問介護計画(助言内容を記載する)を作成していること。
  • ク.訪問介護計画作成から3月経過後、目標の達成度合いにつき、利用者及び理学療法士等に定期的に報告すること。
  • ケ.本加算は、当該計画に基づき訪問介護が行われた初回の月に限り算定できる。
  • コ.3月経過後、再度キ.の助言に基づき訪問介護計画を見直した場合には、本加算の算定が可能になる。
更 新
(15)介護職員処遇改善加算

 介護職員の処遇改善を進めるため、賃金改善等を実施し定める基準に適合し届出を行った事業所が指定訪問介護を行った場合に、当該基準の区分に従い2021(平成33)年3月31日までの間(加算Ⅳ及びⅤについては、厚生労働大臣が定める期日までの間に限定し)加算されるものです。

種 類適用が必要な算定要件
介護職員処遇改善加算(Ⅰ)キャリアパス要件Ⅰ及びⅡ及びⅢ + 職場環境等要件 を満たす
介護職員処遇改善加算(Ⅱ)キャリアパス要件Ⅰ及びⅡ + 職場環境等要件 を満たす
介護職員処遇改善加算(Ⅲ)キャリアパス要件Ⅰ又はⅡ + 職場環境等要件 を満たす
介護職員処遇改善加算(Ⅳ)キャリアパス要件Ⅰ又はⅡ又は職場環境等要件 のいずれかを満たす
介護職員処遇改善加算(Ⅴ)キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・職場環境等要件 のいずれも満たさない

 (Ⅰ)は所定単位数の13.7%相当の単位数を、(Ⅱ)は所定単位数の10%を、(Ⅲ)は5.5%を、(Ⅳ)は(Ⅲ)の90/100を、そして(Ⅴ)は(Ⅲ)の80/100を加算します。

加算の基準
  • ア 加算の算定見込み額を上回る賃金改善計画の策定と適切な措置をとること
  • イ 加算の算定額相当の賃金改善を実施すること
  • ウ 介護職員処遇改善計画を作成し全介護職員に周知し、届け出ること
  • エ 処遇改善に関する実績を都道府県に報告すること
  • オ 労働に関する法令に違反し、罰金以上の刑に処せられていないこと
  • カ 労働保険料の納付が適正に行われていること
算定要件

<キャリアパス要件>

「要件Ⅰ」:
職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること
就業規則等の明確な書面で整備し、全介護職員に周知していること
「要件Ⅱ」:
資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を確保すること
全介護職員に周知していること
「要件Ⅲ」:
経験(勤続年数や経験年数等)もしくは資格等(介護福祉士や実務者研修修了者等)に応じて昇給する仕組みまたは一定の基準(実技試験や人事評価等)に基づき定期に昇給を判断する仕組みを設けること
全介護職員に周知していること

<職場環境等要件>

「加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)」:
平成27年4月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した賃金改善を除く処遇改善の内容及び要した費用について、全介護職員に周知していること
「加算(Ⅲ)及び(Ⅳ)」:
平成20年10月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した賃金改善を除く処遇改善の内容及び要した費用について、全介護職員に周知していること

留意事項

●区分支給限度額の対象外となる。

●支給限度額オーバーしたサービス介護費に係る当該加算は、すべて利用者負担となる。

※支給限度額オーバーしたサービス介護費に係る当該加算についても、実績報告における介護職員処遇改善加算総額に加わるので注意すること。

見直し削除

6.介護予防訪問介護費について

 平成30年3月末をもって、全国一律の基準(取扱い)であった介護予防訪問介護から市町村の自主性・主体性に基づき地域の実情に応じて多様なサービスが提供される総合事業に移行が完了しました。

更 新

7.介護予防・日常生活支援総合事業について

 指定権者(新規指定や指定更新、実地指導等を行う者)は市町村です。指定基準、介護報酬体系・報酬額、サービス内容等についても各市町村で違いがあります。

 サービス提供を実施する各市町村の指定基準等に沿った事業運営をすることになるので、複数の市町村にわたって当該事業を実施しようとする事業所については、利用者が住まわれている市町村の指定基準等を踏まえた対応が必要となります。

留意事項

●第1号訪問事業と指定訪問介護の事業とを一体的な運営を行っている場合は、各々の指定基準や介護報酬算定基準に留意し体制整備やサービス提供を行うこと(例えば、人員配置の件や集合住宅に居住する利用者へのサービス提供に係る減算の取扱の件等)。

●当該事業における介護職員処遇改善加算について
指定権者である市町村ごとに、処遇改善に関する計画書や実績書の提出が必要となる場合があるので留意すること。

●「月額包括報酬の日割り請求にかかる適用」について
 介護報酬体系が月額包括報酬であり算定の取扱が厚生労働省資料に基づいている場合は、次の月途中の事由については日割り算定となる。介護予防訪問介護とは取扱が違う場合があるので注意すること。

「サービス算定対象期間」:
月途中に開始した場合は、起算日から月末までの期間
月途中に終了した場合は、月初から起算日までの期間
(厚生労働省通知:平成30年3月6日付改訂版)
月途中の事由起算日(※2)
開始 ●区分変更 (要支援Ⅰ ⇔ 要支援Ⅱ) (事業対象者 → 要支援)変更日
●区分変更(要介護 → 要支援)
●サービス事業所の変更(同一サービス種類のみ)(※1)
●事業開始(指定有効期間開始)
●事業所指定効力停止の解除
契約日
●利用者との契約開始契約日
●介護予防特定施設入居者生活介護又は介護予防認知症対応型共同生活介護の退居(※1)退居日の翌日
●介護予防小規模多機能型居宅介護の契約解除(※1)契約解除日の翌日
●介護予防短期入所生活介護又は介護予防短期入所療養介護の退所(※1)退所日の翌日
●公費適用の有効期間開始開始日
●生保単独から生保併用への変更
(65歳になって被保険者資格を取得した場合)
資格取得日
終了 ●区分変更(要支援Ⅰ ⇔ 要支援Ⅱ) (事業対象者 → 要支援)変更日
●区分変更(事業対象者 → 要介護) (要支援 → 要介護)
●サービス事業所の変更(同一サービス種類のみ)(※1)
●事業廃止(指定有効期間満了)
●事業所指定効力停止の開始
契約解除日

(廃止・満了日)
(開始日)
●利用者との契約解除契約解除日
●介護予防特定施設入居者生活介護又は介護予防認知症対応型共同生活介護の入居 (※1)入居日の前日
●介護予防小規模多機能型居宅介護の利用者の登録開始 (※1)サービス提供日(通い、訪問又は宿泊)の前日
●介護予防短期入所生活介護又は介護予防短期入所療養介護の入所(※1)入所日の前日
●公費適用の有効期間終了終了日

※1 ただし、利用者が月の途中で他の保険者に転出する場合を除く。利用者が他の保険者に転出する場合は、それぞれの保険者において月額包括報酬の算定を可能とする。
なお、保険者とは、政令市又は広域連合の場合は、構成市区町村ではなく、政令市又は広域連合を示す。

※2 終了の起算日 は、引き続き月途中からの開始事由がある場合については、その前日となる。

✐ 一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会が実施する研修セミナーでは、指摘事例も取りあげながら詳細に解説しております。

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コラムニスト紹介

堀口 直孝

シルバーケア・サービス豊住 顧問
経営コンサルタント

プロフィール

看護婦家政婦紹介所の上部団体である(社)日本臨床看護家政協会の管理者として家政婦の職場確保を支援するための事業の開発推進にあたる。

平成6年 健康保険法の改正により病院の付き添い介護が廃止されたため、家政婦たちの職場を在宅へシフトするためのモデル事業の実施会社を同協会内に設立。同社において在宅介護サービスを立ち上げ、東京都11区よりホームヘルプ事業を受託、介護保険制度施行後、指定事業者として管理、運営を行う。

平成14年 (株)ふれんどりーホームサービスを設立し、東京都千代田区を中心に訪問介護、居宅介護支援事業を実施するかたわら、同事業のコンサルタントも行う。平成30年より現職。

著書・出版

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