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考えよう!明日の福祉

第4回 障がい者の制度及びサービスについて考える

最近、障がい者団体向けの郵便物割引制度を悪用していた事件がニュースになっていました。数年に渡って大量の不正なダイレクトメールを差し出していたことで、関連業者はもとより、厚生労働省の職員までもが逮捕されたのです。

このような障がい者向けの制度やサービスを、誤用もしくは悪用していると思われる光景は、日常でも見かけられます。

例えば、車を運転していると、「車椅子マーク」のステッカーを貼った車がたびたび目につきます。
この車椅子マークのステッカーは正式名を「国際シンボルマーク」といい、障がい者が住みやすい街づくりを提唱するものです。このステッカーを車に貼っている人の中には、障がい者と見せかけて空いている障がい者向けの駐車場に堂々と駐車するために、わざと車椅子ステッカーを貼っている人がいるという話を聞いたことがあります。

事実、私も混雑しがちな高速道路のサービスエリアにある駐車場で、誤った駐車の仕方を目撃しました。全く障がいの無さそうな若い二人連れが堂々と車椅子専用駐車場に車を駐車し、やがて騒音とともに走り去っていったのです。

このような車椅子マークの誤用以外に、健常者と障がい者の狭間では行き違いが生じることもあるようです。
数年前になりますが、新聞の読者投稿欄で“障がい者優先”に関する意見を見かけたことがあります。とある有名なテーマパークの何十分待ちが当たり前という人気アトラクションでは、障がい児や障がい者の入り口が別になっているとのことで、「彼らだけが少ない待ち時間で入場できるのは、不公平」というものでした。
この問題には、差別なのか配慮なのか、あるいは不公平なのか機会の平等なのか、という障がい者をめぐる様々な意見が寄せられていました。

障がい者の制度やサービス上には、このように身近な出来事から福祉のサービス利用者の人権や権利擁護に関わる根本的な課題まであります。簡単に結論が出るような問題ではありませんので、これらの課題に多くの人が気付いてくださることを期待するとともに、それぞれの考え方を伺ってみたいと常々思っています。

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コラムニスト紹介

福田 幸夫

静岡福祉大学社会福祉学部福祉心理学科教授
実践女子大学、獨協医科大学非常勤講師
福島県介護保険審査会委員、社会福祉法人希望の杜福祉会理事

プロフィール

1962年秋田市生まれ。

1987年立正大学大学院文学研究科社会学専攻修士課程修了、僧侶。
日本福祉教育専門学校、日赤秋田短期大学専任講師、筑紫女学園大学准教授を経て、2019年から現職。

1992年に社会福祉士資格取得、日本社会福祉士会の設立に加わり、介護支援専門員(ケアマネジャー)指導者、東京都障害児者・入所施設サービス評価事業オンブズマン、東京家裁成年後見監督人として活動。

現在は、福岡県筑紫地区介護認定審査会委員、障害区分認定審査会委員、国民健康保険団体連合会介護給付費審査委員等。

著書・出版

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