札幌市に昨年九月にオープンした有料老人ホーム「イリスもとまち」は、組合員が事業を共有・運営する「生協方式」で設置された。全国でも初というホーム。運営主体はさっぽろ高齢者福祉生活協同組合。今回の有料ホームが最初の事業だ。社会福祉法人でも株式会社でもNPOでもない組織形態で「開かれた経営」による理想のホーム作りに挑んでいる。
「夫婦で入居したい」という意見を受け、全室個室ユニットケアの計画を変更し、一部に夫婦部屋を設置、食事はプライベートを尊重して決められた時間以外でも提供可能に…。施設の入居前から、入居希望者の意見を取り入れ同ホームが改善してきた内容だ。
施設開所後も、定期的に入居者・家族が参加する運営懇談会を開催。全組合員が議決権を持つ年一回の総会では「料金の設定は適切か」「その日にどの職員がいるのか分かるようにして欲しい」など活発な意見が交わされているという。施設に入居すると居場所がなくなるのを恐れて意見が言いづらくなるのが一般的だが、「間違いがあれば組合員の立場で断固改善を要求する」と断言している入居者がいるのがこのホームの特徴だ。
「私たちも組合員から選出された理事に過ぎない。出資金の額にかかわらず一人一票を持つ総会で間違った方向で経営されていると判断されれば、入居者をはじめとした組合員にクビにされることもある」
運営を担当する理事会も常に「利用者本位」で行動し続けるしかないしくみと河原理事長は笑う。
「イリスもとまち」は、昨年九月にオープンした六五室、七一人の介護付有料老人ホーム。運営しているのは、さっぽろ高齢者福祉生活協同組合。二○○六年七月に設立された福祉生協だ。その最初の事業が有料老人ホーム事業になる。助け合い活動やホームヘルプ、デイなどの在宅介護事業を行う福祉生協は数多くあるが、多額の投資が必要な有料ホーム事業を行う福祉生協は珍しい。
「『自分が決断できるうちに、生涯を任せられる施設に移りたい』という高齢者の声を常々聞いていた。なんとか自分たちの手で生涯にわたる安心を保障できる有料ホームをと考えていた」(河原理事長)
札幌近辺は全国でも高齢者の夫婦のみ、独居世帯の多い地域だという。家族介護の担い手がいない以上、自分で安心して暮らせる終の棲家を見つけなければならない、そんな地域の高齢者の喫緊の課題にまっさきに手を差し伸べたいという考えだ。 --- (以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する