訪問介護というお仕事
ご利用者さんのやり方に合わせる従順さが必要です。
叶内さんのデスク。手帳はやっぱりくまモン。
―叶内さんは、老健からこちらの事業所『株式会社ケアワーク北多摩』に転職されて、この会社一筋14年ですよね。いざ訪問で働かれてみた当時の印象は?
最初は登録ヘルパーとして入社、直行直帰型の勤務でした。訪問になるとご利用者さんの家が職場なので、それが施設と大きな違いです。ホームヘルパーとして何でもできなければいけない、という気負いもすごくありましたね。でも、どんなケアもご利用者さんのやり方に合わせるという点では、ベテランも新人もご自宅に入ったその日がスタート。介護の基本的な知識は必要ですが、それ以上に“ご自宅の流儀に合わせる従順さ”が必要と分かってからは、それを心得にして頑張ってきました。
叶内さんの訪問バッグ。キャスターのついたカゴに入れて机の下に収納。すぐに取り出せる一工夫が◎。
―素直な気持ちで受け入れる、的な?
ご利用者さん宅に入り、その場で常に勉強です。指示が細かい方やこだわりが強い方も多いですが、その方がずっと生活している家でもあるので、その方針を受け入れて合わせることが大事。もちろん老健での経験も自信になりました。おむつ交換や入浴介助は最初から落ち着いてできたので。
ケアに必要な持ち物は、複数のポーチに小分けして持ち歩いているそう。
―徐々に訪問の仕事が楽しいと思えるようにも?
はい。やはり1対1なので、人と深く関われるのが大きいです。仕事とはいえ、その方との繋がりが深くなるほど、会う楽しみや話す楽しみもどんどん増えていって。そういうところにやりがいも感じられるようになりました。
ホワイトボードには今月の目標。かわいいイラスト入りでほっこり。
―その後どれくらいでサ責に?
登録ヘルパーから半年後に正社員に、その後5年経って介護福祉士の資格をとったタイミングでサ責に。
気になることや確認は思い立ったらすぐ。そんな光景がよく見かけられました。
―サ責になって何か変化はありましたか?
正社員になった時にチーフヘルパーという役職をいただいて、その時からサ責に近い仕事をしていたので仕事内容が大きく変わったという印象はあまりなく。ただ、外部との繋がりは増えましたよね。他事業所の方々とのやり取りやサービス担当者会議に出席したりして情報交換をする機会も多いですし。あとは、次世代に繋げていける介護職員を育てていく責任もより強く感じています。
リーダーの風間さんと叶内さん。なんでも相談できるよき仲。
―ヘルパーの育成ということですよね。
ヘルパーは一番身近にご利用者さんのことを見れる貴重な存在です。それぞれが抱える疾病を意識して、それに伴う注意点を理解しながら変化を見逃さない。「何かいつもと違うな」と感じたら、すぐに報告をあげて、必要があればケアマネと看護師と連携をとっていかなければいけません。ヘルパーの人数が多い分、1人1人のレベルが様々です。すべてのヘルパーが意識を高められるよう、日々努力を求められています。