ヘルパーのお仕事とは
「ありがとう」という感謝の言葉が何よりの活力です。
庭にはスロープが設置されています。これのおかげで移動がスムーズになったとか。
―迫谷さん、長野さんがそれぞれ『猫の手』で働きはじめた経緯を教えていただけますか?お二人とも、だいぶ長く働かれていますよね。
迫谷―私がヘルパーの存在を知ったのは母が脳梗塞で入院したのがきっかけでした。母は自力でなんとかやっていたんですが、今後のことも考えて持っていた方がいいかなと思い、ヘルパー2級の資格を取得したんです。その当時は普通のサラリーマンでしたので、土日の休みを利用して病院の夜勤バイトをすることに。その頃の夜勤は時給がよかったので、それにつられたのもあります…(笑)。でも、いざケアに入ると、夕方の5時から次の日の朝9時まで全部一人で担当するんです。寝たきりの方が多いので、本当に大変で。吸引を覚えたのもそこでしたし、精神的にもだいぶ鍛えられましたよね。その後、仕事のストレスで胃潰瘍になったことを契機に、自分に向いているかも…と思いはじめていた介護の仕事に足を踏み入れる決意をしました。最初の1年はグループホームで、その後ヘルパー仲間の紹介で『猫の手』に。それからはずっとですね。
漆山さんを楽に車へ移動できるよう可動式のエレベーターも!
―介護のお仕事って、給料があまり良くない…といった世間的なイメージもあるなか、安定収入のあるサラリーマンだった迫谷さんが介護業界に足を踏み込むのって、なかなか勇気のいる行為に思えるのですが・・・。そこのところ正直どうですか?
迫谷―それはもうちょっともらえたらな、と思うときもありますよ(笑)。でも、気持よく仕事ができるのが一番ですから! 自分はお金よりも気持ちを優先させてしまうかな。あとは、やっぱりご利用者さんの「ありがとう」「あなたがいてくれてよかった」っていう言葉が何よりの活力ですね。その瞬間があるからこそ、続けてこれたんだとも思います。
「コツコツ」が私の信念とおっしゃっる『猫の手』の社長、小林さん(右)。
長野―それが一番よね。やっぱり一番嬉しいのは、やったことに対して「ありがとう」と感謝されること。そう言われるということは、相手の方も満足していただけているんだ、と心のなかでも納得できますし。
事務所は片面ガラスばりで日当たりも良好!過ごしやすい広々とした空間。
―なるほど。そういう嬉しい瞬間があるのがこのお仕事の醍醐味でもありますよね。長野さんは、どうして『猫の手』に?
長野―私も別の会社で働いていたんですが、知り合いだった社長から「手伝ってほしい」と頼まれ、手配事務が忙しい時期だけ手伝いに来ていたんです。月末『猫の手』で徹夜作業して、朝家に戻り着替えて自分の会社に行く…なんてこともありました。1、2年して『猫の手』が有限会社になるのを機に、会社を辞めて正式にこちらへお世話になることに。引き続き事務作業をしていたのですが、そのなかにヘルパーの手配があるんです。手配といっても、ヘルパーさん達が実際にどう仕事をしているのか想像の範囲でしか分からないので、どう配置するべきか戸惑ういが生じるんです。これは自分も現場に出てみないとダメだ…と思い資格を取ったのがきっかけですね。そしたら、人手が足りないから「あそこ行って、ここ行って」と言われ(笑)、今では現場業務と事務を両立しています。
―やはり現場に出てみて分かったことも多いですか?
ヘルパー同士の連絡事項が大きなボードに細かく記入されている。
長野―それはもう! 現場が想像以上に大変だということも身をもって体感しましたし、ご利用者さんの考え方や意識も、事務をやっていただけでは分からなかったことです。ヘルパーさんとのコミュニケーションもスムーズになり、どういうメンバーを配置したらよいかもみえやすくなりましたね。