訪問介護員として、サービス提供責任者として思うこと
知れば知るほどこの仕事に惹かれていきました
ケアマネージャーさんと、ご利用者さまの状況を確認しながら、細かいところまで打ち合わせをします。
―和田さんはヘルパーになられて8年目ということですが、HPで面白い経歴を拝見しました。リクルートに入社後、ヘルパーの資格を取得とありましたが……。
あぁ。それはだいぶ省略してしまってるんですよ(笑)リクルートはすでに20年前に退社しています。その後子供を3人産んで、育児に専念した期間が10年ぐらいでしょうか。
ご利用者さまにケアプランの変更内容を丁寧に説明する和田さん。
― そこからどうして突然、訪問介護員2級の資格を取得しようと思われたのですか?
実は最初からヘルパーになりたい!と思っていたわけではないんですよ。これまた偶然が重なった結果なんです。
―といいますと?
丁度、3人目の子供の育児が落ち着きだして、何か仕事をしたい!と思っているときでした。そんな折、ヘルパーをしている友人が、「日野市のヘルパー2級の研修募集が広報に掲載されているから、受けてみなさいよ!」って勧めてくれたので、その言葉に押されて申し込みをしました。それが締め切り前日。キャンセル待ちだったので、待っている間ほかの仕事を探しつつ、ヘルパーについて調べ始めました。そこでようやくヘルパーの何たるかを知ったわけです(苦笑)知れば知るほど魅力的に思えて、その時点ですでに『私にはこれしかない!』というぐらい、この仕事に惹かれていました。
―和田さんがこの仕事に魅入られることを見越して勧めてくれたお友達がいたからこそ今の和田さんがいらっしゃるんですね?
本当にそうですよね。私が介護の仕事に向いていると思ってくれていたみたいです。
私としてはキャンセルがでなくても、この仕事に就こう!と心で決めていました。そんな矢先、講習開始の前々日にキャンセルが出て参加できることになったんですよ。なんてラッキー、と(笑)。講習が始まると、毎日楽しい、楽しいの連続で、介護の奥深さに魅せられていきました。
―和田さんにとって天職だったんですね。その講習を終了して資格取得した後、どのように働かれていたのですか?
資格取得1ヵ月後にはヘルパーとして毎日びっしりスケジュールを入れて働いていました。最初は日野市社会福祉協議会で、その後、民間運営の事業所にて訪問介護をしていました。
― その頃、ご利用者さまとの間であった印象的なエピソードはありますか?
「あんたの買ってきたサツマイモは美味しくないよ」とご利用者さまに言われたことがありました。「他の人が買ってきてくれた同じ店で購入したサツマイモは美味しいのに」って。購入から1週間たってからの出来事だったため、取り替えてもらいます、といったフォローも出来ない状況でした。謝ること、納得してもらうことの難しさにふれ、初心に帰るいい機会になりましたね。それ以来、これを自分の格言とし、基本に立ち返ることを大切にしています。
― それはすごい経験ですね。そういった現場で起こる困ったことは当時、どう対処されていたのでしょう?
サービス提供責任者が対応の全てを引き受けてくれていました。今、自分がその立場になると、どれだけ陰でフォローしてくださっていたのかが身に染みて分かります。
なので、私自身もヘルパーさんにとって、すぐ相談できる人でいたいし、『この人に頼めば何とかしてくれる』と頼ってもらえるような存在にならなくてはいけないと思っています。
ご利用者さま、ヘルパーさん、事業所、みんなが納得できるサービスを!
移動は基本的に車。ご利用者さまのところへ会話をしながら向かう和田さんとスタッフ。
―スタッフと気さくに会話されている和田さんを拝見して、アットホームな温かい雰囲気を感じました。ヘルパーにとって、サービス提供責任者がすごく近い存在でいらっしゃるのだなとお見受けしましたが。
そうですね。ただ、近すぎてもダメだと思います。馴れ合うより、ビジネスライクな関係といいますか。せっかく縁あって様々な実績や年齢の人が集まるのですから、お互い尊敬の気持ちをもって付き合っていきたいですね。そういった関係のうえで、私は「何かあったら、すぐ報告してください!」とよく言っています。これが出来る関係なのかどうかがすごく大事なことなんですよ。
―具体的にどういうことですか?
例えばヘルパーさんが現場で対応できないことを頼まれて困ったとします。『どうしよう・・・』と悩みながらも、相談せず独断で判断して対応してしまう。それがうまくいかなかった時、私により言いづらくなりますよね。ご利用者さまにも今更断れないし、事業所にも言えない、出口がなくなってしまう、なんてことは避けたいです。
―では、うららのヘルパーさんはすぐ相談してきますか?
はい(笑)報告も早いですよ。ヘルパーさんから「この場合どうすればいいですか?」って連絡が入ると、私もすぐ代表と話しをして、答えをなるべく早く伝えます。そしてご利用者さまにもしっかり納得してもらう。そうすると、全員が状況を把握して同じ情報を共有できるので、間違いのない方向へ進んでいけますよね。
―間違いない方向とはどういうことですか?
それは、3者が納得できるサービスということになります。ヘルパーさんは訪問先に行きたいと思い、ご利用者さまも満足して穏やかな気持ちになってもらう、私たちも状況を理解してヘルパーさんを送り出す。全員が健康的に気持ちのよい関係性を築けていることが大切だと思いますし、そうなるように努力していますね。それこそが信頼関係にもつながると思います。