ずっと現場の一線で活躍していたい。ただ、それだけです。
▲自転車で利用者さんのご自宅へ。いざ、出発!
―介護のお仕事を選んで良かったなと思う瞬間はどんなときですか?
森さん:人とのつながりを感じたとき、ですね。
―というと?
森さん:ひとりひとりの利用者さんを、ヘルパーだけで支えることなどできません。
だからご家族やデイホーム、訪問介護、ケアマネージャー、ヘルパー、その他様々な社会が協力して利用者さんを支援します。
介護の仕事って、そんな人間どうしのつながりを肌で感じられる仕事なんです。
人によって人は生かされているんだな、人と人とがつながって私たちの暮らしは成り立っているんだなと実感できるんです。そういう時に、介護の仕事を選んで良かったなって思います。
―では、ちょっと意地悪な質問を。転職したいと思ったことは?
森さん:ありますよ。
―そうなんですか?
森さん:ええ、もちろん。転職して別の仕事を経験することで、私自身や今後の仕事にプラスになるかもしれない。
時々、そう考えることがあります。
介護の世界って、色々な経験が必要なんですよ。でも、私はまだまだ半人前。
だから余計にそう考えるのかもしれませんね。
―介護のお仕事に対して、本当に前向きなんですね。
森さん:私は、できることならずっと現場の一線で活躍する人間でいたいんです。ただ、それだけです。けれど、それが一番大変で難しいのかもしれませんね。
働き手の心に「ゆとり」ができる制度になって欲しい
▲慌しく書類の整理を行う森さん
―まだまだ介護は難しい、問題が多いと思われているところがありますよね。それについてはどう思われますか?
森さん:年金問題や介護福祉業界の良くないニュースをよく耳にしますが、ひとつの事件で介護や福祉全体のイメージが悪くなるのは悲しいことです。
頑張っていらっしゃる方々を知っている分、余計にそう思います。もっと働き手の気持ちに余裕が生まれるような制度になって欲しいですね。
▲はにかむ森さん
―仰るとおりですね。
森さん:働き手の気持ちに余裕が生まれれば、介護の世界はもっと良くなると思うんですよ。
訪問介護には、利用者さんが本当に求めるサービスが何かを見極める「目」と、それを周囲に伝える「言葉」が不可欠です。
また、サービス提供責任者にはヘルパーさんたちからの声を聞く「大きな耳」も必要です。そういった目や耳、言葉を持つためには、はやり心と体が健康でなくちゃいけないと思うんですよね。そうでないと目先の問題解決にばかりとらわれてしまう。それでは根本的な解決にはなりません。
利用者さんやご家族、ヘルパーをはじめ介護に関わる全ての人が共通の理解と意識を持つことはとても難しいことですし、それに挑むにはとてつもないパワーが必要です。
だからそのことで精一杯になってしまう。
でも、そんな時こそ笑顔が大事だし、自由というか遊びというか、そういう余裕も必要なのかなって。生意気かもしれませんが、そう思います。(笑)
編集後記
▲特定非営利活動法人サポートハウス年輪の皆さん。
取材当日はぴかぴかの晴天で、気分も晴れやかでした。急遽ヘルパーさんの代理で訪問介護に向かうことの多かった森さん。照れ笑いを浮かべながら「毎日が勉強です」と仰っていたのが印象的でした。 取材にご協力いただきました年輪ヘルパーステーションの皆様、ならびに特定非営利活動法人サポートハウス年輪のスタッフの皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。