9月7日深夜にIOC総会で行われた最終プレゼンテーション、特にパラリンピック選手である佐藤真海さんのスピーチには感動を受けました。当初、8日午前5時には招致都市が発表されるはずでしたが、大幅に遅れ、招致賛成派・反対派を含めた日本国民の多くが今か今かとイライラしたことでしょう。そしてIOCロゲ会長から「2020年オリンピック・パラリンピックは東京開催に決定」と最終発表があった時の大歓声、この一瞬の長さは何時間にも感じられました。
招致賛成の私は、一生リアルタイムでのオリンピックはもう見られないだろうと思っていましたが、2度目の大会になるかもしれません。賛成する第1の理由は、私の経験則からで、この機会に東京が大きく変化するだろうと思うからです。1964年の東京オリンピックでは、戦後復興の象徴日本を見せるため、高速道路や新幹線開業など特に東京を中心とした首都圏が大会成功を目指そうと大きな変化をもたらしました。海外からの日本に対する期待度は大きく、当時の日本に金銭的な余裕はあまりありませんでしたが、あれもこれもと拡大工事に取りかかる始末。この日からがまさしく「外圧に弱い日本」の始まりでした。トッカン工事で築かれたこれらの建設物は、今日まで十分な修復がなされておらず、天井の崩落、道路の陥没など、老朽化が最近発生している事故原因でもあり、今後これらの修復工事がされていくことでしょう。
国が大会を引き受ける際の約束として、原発事故による汚染水問題などをコントロール下に置くことをはじめ、選手団の健康とテロからの安全確保などは、首相発言が国際公約となり、オリンピックに対する「オールジャパン体制」の底力を見せつけました。賛成する2番目の理由としては、パラリンピックが続けて開催されることです。しかし、パラリンピックについては、一般競技選手と同様に、選手の皆さんが努力をしているにもかかわらず、どのテレビ局も取り上げる話題が少ないと感じているのは私だけでしょうか?海外からのパラリンピック選手団や観光立国に訪れる障害者にとっても、優しい都市であると証明出来る大会にして欲しいです。なぜなら、前東京大会では公共施設や道路といった基本的なインフラ整備が中心となり、障害者にとって利便性のある大幅なバリアフリー工事まではなされていなかったと感じたからです。
訪れる観光客の方々には、歌舞伎、京都舞妓、神社仏閣、富士山などだけでなく、本来日本人が持つ「労わりの精神」も見て感じてほしいです。「おもてなし、東北の粘り強い日本人魂」こそ日本文化でしょう。経済効果、経済効果と、お金儲けだけを考えるのではなく、2020年までの7年間で、世界の人達を驚かす「バリアフリー都市」を完成させて、皆さんをお迎えできることが一番だと思います。1964年は戦後から復興した象徴を見せつけた東京オリンピックでしたが、2020年は東日本大震災を忘れることなく見事に復興し、56年振りの成熟した国日本を、そしてさらに障害者にとって非常に優しい国であることを披露出来る大会になることを期待しています。
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