これから先の世の中、人、物、土地など…あらゆる物の際限に行き詰まることとなるでしょう。そういう意味でも「分け合う」ということが大切になってきます。
例えば不況による仕事不足で雇用率が低下した時には、ワークシェアリングによって仕事を分け合うことで雇用の維持と創出に努めていたり、高度成長時には、オフィスシェアリングが流行りました。事務所及びデスクを共有化し、共同使用による経費節減と情報の円滑化が図られたのです。最近では日本でもカーシェアシアリングが普及してきています。増える自動車をレンタル化して共同使用することにより、経費削減に加え、排気ガス汚染による地球温暖化防止にもつながり、エコという時代の流れにも即しています。自動車を個人で所有することは、実際の使用時間を考えてみると多くの人にとって維持管理費など無駄が多いことに気づきます。一方、カーシェアリングは、駐車場不足の解消や駐車場料金高騰の抑制、公害防止の一助にもなるのではないでしょうか。もう少し利用しやすいシステムに改善すれば、さらに利用者が増えていくことと思います。また最近では、コンピューターシェアリングが注目を集めています。自社の使用電算機の専有にとどまらず、スーパーコンピュターの共同使用による効率化と費用削減を目指し、世界中どこにでもアクセスできる、まさに時代を有効利用する研究がなされているのです。
なんだか難しい「分け合い」まで辿り着いてしまいましたが、AC(公共広告機構)のおもいやり算というCMで、掛け算「×」を「声をかける」、割り算「÷」を「労わる」、足し算「+」を「助け合う」、引き算「-」を「引き受ける」という具合に、人間としての助け合い(分け合い)を算数遊びになぞらえ呼びかけているものがあり、心が温かくなりました。日本は少子高齢化社会に入り、将来の人材不足が必至なため、企業は解消策として定年延長を認め、高齢者の雇用に踏み切りました。次の段階としては、女性の社会復帰できる環境改善ではないでしょうか。社会的地位向上はもちろん、子育ての助け合い(分け合い)精神に協力すれば、まだまだ見通しは明るくなるはずです。
3.11までの日本人は、平和ボケから「俺が、俺が」の自己主張時代でありましたが、あの震災時にはその愚かさに気付き「助け合い(分け合い)精神」が甦ったことで世界から賛美されました。しかし、昨年末の総選挙では「自分だけは当選したい」自己主義政治家が多く、政権奪回した際の挨拶では「分け合い精神」の訴えは少なくなり、景気回復、株価上昇、為替円安の声高らかで、早くも被災の人々を忘れかけていることを寂しく感じました。世界の一人一人が与えられた命を大切にし、全てのものに「分け合う精神」が持てる時代になるといいと思います。
そして、私は介護福祉に携わっている皆さまこそ、時代の先端を走っている方々だと思うのです。それは介護の現場が「人に声を掛け、利用者を労わり、障害ある人には手助けをし、どんな仕事も引き受ける」場であるからです。医療の目覚ましい進歩で70、80歳と寿命だけは急速に延ばすことが出来ましたが、この高齢者達をどのような環境や設備の介護施設で生活を支えていくべきか、が追いついていないのが現状ではないでしょうか。
人間生きている限り、遅い早いかの差こそあれ、大なり小なりの障害を持つこととなるでしょう。すでに、皆さんより少し早く障害を持ってしまった私は、「分け合い精神」を頂いた方達への感謝の念をいつまでも忘れることはありません。
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