以前、目が見えない人にとって"声をかけられるのが一番嬉しい"というお話をしました。ですから、音声で知らせてくれる品物も、それと同じくらい視覚障害者にとって便利なのです。元気で通勤している時は、街角に時報を知らせる時計がどこにでもあり、たとえ腕時計を忘れていても不便さは感じませんでした。ですが、今はそうもいきません。
最近は、「音声読み上げ機能」がついた携帯電話の登場により、音声で時間をお知らせしてくれるようになり大変便利になりました。また、使い方手順をトークで教えてくれるため、携帯の数字を選ぶだけで次の動作に移ることができるなど、外出時の携帯電話は視覚障害者にとっても貴重品となりました。もちろん、迷子になった時など自分の所在地が分からなくなると、通りすがりの人に現在地を教えてもらい、迎えを頼むのにも重宝しています。電話をかける時もこれまでのダイヤルを回すタイプでは番号数字を探すのに手間がかかるところを、短縮メモリーを押すだけでOK。どれだけ助かっているか、あらためて携帯電話の便利さに感謝しています。もう1つ、よく利用するのが写真機能です。近くで見られない物や出かけた場所などを撮影しておけば、自宅に持ち帰り拡大鏡で見ることが出来るので楽しみも広がります。
他に、音声で知らせる時計・電子計算機・計量はかり・体重計・血圧計などもありますよ。音声が出なくても便利な物では、白と黒を区別できることで使い分けできる「まな板」、一回の使用量が決められる「醤油差し」、配膳されたコップが滑らない「お盆」などの日用品もあります。これらの品物は100円ショップなどにアイディア商品として陳列されているので、興味を持ってお店を歩いてみると意外と見つけられます。お出かけした時には好奇心のアンテナを張り巡らせ注意して見るのも面白いです。
私の情報元となっているラジオは、いつも携帯しています。昔と違い小型軽量でAM、FM、TV、どの局も感度抜群で使い始めると手放せない一品です。
ガイドヘルパーさんから、利用者に便利な品々の情報をお話しすることで、利用者の新しい世界が開けると思います。ぜひ、新感覚で品物を見る習慣を付けてもらえればと思います。
今まで説明してきた品物は、健康な方でも便利に使えるため購入者も多く、比較的安価に販売されています。ですが、これから紹介する物は、視覚障害者専用で開発された商品のためユーザーが少なく、メーカー側の生産コストがかかるため価格設定が高いのが難点なものたちです。少し値段が張りますが…、バーコードのメモリーチップを利用して保管管理できる電気製品、その名も「ものしりトーク」を見つけました。これは本体「リーダ」と500円硬貨大の「ICダグチップ」を使い、リーダでタグチップをつけた品物の名前や詳細を録音。品物を探すたびにリーダ本体を品物に当てると録音していた情報を再生してくれる優れものです。背広のハンガーやネクタイ、Tシャツ、靴下などにチップを付けておき、色やデザインなども合わせて録音しておけば、出かける際の服装コーディネイトもしやすいのです。また、食生活では冷蔵庫の中でみつけにくい食品や冷凍品にもチップを取り付けておけば、便利で探しやすいですよ。ICタグチップは何度も使えるので、保存するたびに本体リーダに録音しておけば、商品が替わっても大丈夫。その他感心した商品に、お部屋の中での探し物がどこにあるかを音声で知らせてくれる「探し物発見器」と名づけられた優れ物があります。
いずれもお値段の都合から私は求めていませんが、「子育て支援」や「高校無償制度」だけでなく「障害者用具メーカー補助金制度」などが出来れば、このような優れものが少しでも安価に販売されることでしょう。
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